日本製紙、漢方薬や医薬品の原料となる薬用植物の増殖技術を開発
2012年11月22日 11:22
日本製紙は21日、挿し木増殖が難しいとされている薬用植物のうち12種(マオウ属、チョウジ等)について、同社が持つ独自の発根技術を応用し、挿し木による増殖技術を開発したと発表した。
薬用植物は古来、漢方薬や医薬品の原料として活用されてきたが、近年、日本独自の伝統医学「漢方」を含む東洋医学への関心の高まりとともに、中国や欧米における薬用植物の需要が増大している。日本国内においても、健康意識の向上を背景に漢方が注目され、多く利用されるようになってきた。しかしながら、日本国内で使用されている薬用植物は80%以上が中国からの輸入に依存しているとされ、一方、薬用植物の乱獲が砂漠化や資源の枯渇を招くとして中国では一部の薬用植物について輸出規制が行われるなど、中国産生薬は価格が高騰する傾向にある。日本国内での薬用植物の栽培も検討されているが、挿し木増殖が難しい植物種が多く、一部植物種の栽培に留まっていることから、薬用植物の安定的な調達が社会的な課題となりつつある。
日本製紙は、国内有数の薬用植物の研究機関である「独立行政法人 医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター」から薬用植物の地上部(茎葉)の譲渡を受け、独自に開発した発根技術である「光独立栄養培養技術」を応用し、増殖に取り組んだ。その結果、今回、2種の薬用植物にて十分な発根を確認することができたという。
今回、薬用植物を増殖させる技術を確立したことにより、これまで挿し木増殖は難しいとされてきた薬用植物の挿し木苗を今後効率的に生産することができるようになる。さらに、薬用成分を多く含む優良系統を選別し、増殖することも可能になる。日本製紙は同技術を広く活用し、薬用植物の国内栽培の普及に貢献していく方針。