脳スキャンを使い、12 年間植物状態だった男性との対話に成功

2012年11月19日 12:50

 eggy 曰く、

 Western Ontario 大学の Adrian Owen 教授が、12 年間植物状態と診断されてきた男性と、MRI を使って対話することができたとのこと。Owen 教授が男性に幾つか質問したところ、脳スキャンを通して脳が部分的に光ったため、「痛みを感じていない」など男性の考えを知ることができたのだそうだ (BBC News の記事thestar.com の記事本家 /. 記事より) 。

 自動車事故により脳に重度の損傷を受けた Scott Routley 氏 (39 歳) は、目は見開かれたまま物理的な反応がないため植物状態と診断されてきた。これまで植物状態と診断された場合は、自分及び周囲環境を認識できていないとされてきたが、今回の実験により、Routley 氏には意識があり、自分が誰であり、何処にいるのを認識できていることが明らかとなった。

 植物状態で対話不能と思われている患者でも脳をスキャンすることで対話が可能であることが分かったが、Owen 教授は、今後はそういった患者の 5 人に 1 人が日常的な対話を行えるようになることに繋がって欲しいと話している。また MRI 装置は高額であるが、最新の携帯用脳波測定器なら 75,000 ドル程で、患者のベッド脇に置いてコミュニケーションに使用することも可能性として考えられるとのこと。

 ちなみに植物状態の患者と MRI を用いた対話は、2010 年に行われたケンブリッジ大での試み (Mail Online の記事) が最初らしい。

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