政策と低金利の追い風を戦略でつかまえる

2012年11月12日 11:00

 住宅メーカー大手3社(大和ハウス工業 <1925> 、ミサワホーム <1722> 、積水ハウス <1928> )の2012年度中間決算(決算期が1月の積水ハウスは2~7月)は、三社三様で明暗が分かれた。

 大和ハウス工業の売上高は前年同期比7.0%増の9618億円、最終利益は10.8%増の359億円で、過去最高を記録した。業績見通しは売上高を1兆9000億円から1兆9700億円(前期比6.6%増)に、最終利益を580億円から620億円(前期比86.7%増)に上方修正している。通期の受注高見通しも1兆2000億円を1兆2300億円(前期比5.9%増)に上方修正した。

 ミサワホームの売上高は前年同期比2.7%増の1876億円、最終利益は22.4%減の286億円だった。通期業績見通しは売上高が3930億円(前期比3.8%増)、最終利益が75億円(前期比8.4%増)で変わらない。通期の受注戸数見通しは前期比447戸増の1万2800戸となっている。

 積水ハウスの売上高は前年同期比1.6%増の7580億円、最終利益は1.2%増の170億円だった。通期業績見通しは売上高は1兆6500億円(前期比7.8%増)で変わらないが、最終利益は420億円から440億円(前期比51.9%増)に上方修正している。通期の受注高見通しも1兆7080億円を1兆7100億円(前期比8.4%増)に上方修正した。

 住宅業界は住宅ローン「フラット35」の金利優遇措置、住宅ローン減税、耐震住宅、省エネ住宅の贈与税非課税枠の拡大など住宅取得支援の政策効果が出て、住宅着工戸数はほぼ横ばいながら底堅く推移している。その中で大和ハウスは過去最高の業績をあげ、積水ハウスも好調だが、ミサワホームはやや出遅れている。それでも震災による影響をほぼ脱し、受注は揃って上向きだ。

 9月、10月と日銀の追加金融緩和が2ヵ月連続で実施され住宅・不動産業界にはまた追い風になるとみられるが、外部環境の良さを受注拡大につなげる戦略は3社それぞれ。大和ハウスは「地域密着」「環境」「高齢化」「グループ力」をキーワードに事業を全方位で展開している。ミサワホームは30代向けのコンパクトな木質系戸建住宅などニーズに即した独自の商品開発を進めている。積水ハウスは新築でもリフォームでも太陽光発電装置や燃料電池を装備した環境配慮型住宅の比率を高める「グリーンファースト戦略」を基本方針に据えており、また、北米等での国際事業の成果が収益に貢献している。生活密着型の産業だけに、その他にも「スマートハウス」「子育て」「安全・安心」「絆」などさまざまな切り口の提案で、住宅需要の掘り起こしが図られそうだ。

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