電子楽器大手ローランドが構造改革を実施、国内で180人削減
2012年11月7日 21:34
電子楽器大手のローランドは7日、電子楽器事業の構造改革を実施すると発表した。同社では、リーマンショック後に落ち込んだ日米欧市場がその後の日本の震災、欧州債務危機なども影響し、未だ回復にいたっておらず、また急速に進行した円高の影響もあり、業績低迷が継続している。そのため、電子楽器事業の構造を大きく改革し、収益体質の回復をはかることが急務となった。
電子楽器事業の開発体制について、2013年3月期末までに開発部門の組織変更・統合をおこない、効率のよい開発体制を構築する。また新製品開発についても、市場ニーズを反映した十分な絞込みをおこない、開発投資効果を高めるとともに、あわせて開発期間の短縮・開発効率の向上をはかる。
生産体制については、2013年3月期末より、中国、東南アジアの生産拠点への生産移管をすすめ、現状約70%の海外生産比率を90%まで引き上げ、市場競争力の強化をはかる。これにともない、日本国内の生産を集約し、また欧州、米国における電子ピアノの生産もインドネシアの生産委託先に集約することで、生産効率の向上をはかる。
国内販売体制については、2013年3月期末に福岡、名古屋、札幌の営業オフィスを閉鎖し、その機能を東京、大阪の2拠点に集約する。また販売店に展開しているショップインショップについても、販売状況に応じて有人店舗の縮小をはかる。
海外販売体制については、北米、欧州の業務用音響機器・映像機器に特化した販売体制を楽器と統合、集約し、効率向上をはかる。また、欧州では前期に設置した集約倉庫の活用を推進し、物流の効率化をはかる。
これらの構造改革にともない、2014年3月期末までに、国内外あわせて電子楽器事業の約15%にあたる350人の人員調整をおこなう。日本国内では、2013年3月期末までに希望退職者100人の募集及びその他の雇用調整、自然減を含め、合計180人の人員調整をおこなう。
同社は、今回の事業構造改革により、2014年3月期には13億円の収益改善効果を見込んでいる。これにより製品の市場競争力を強化し、業績回復をはかる。また、引き続き楽器分野の深耕拡大、新興国市場の開拓をはかり、さらに楽器以外の分野への用途展開も推進し、将来の成長基盤の確立をはかる。なお、事業構造改革費用として、2013年3月期に12億円の特別損失を計上する予定。