スズキ、米本土における四輪車販売事業から撤退 米子会社が更生手続を申請

2012年11月6日 12:43

 スズキは6日、同社の子会社で、ハワイ州を除く米国において四輪車、二輪車・ATV(バギー)、船外機、関連する部品・用品の販売を行うアメリカンスズキモーター社(ASMC社)が、11月5日(現地時間)開催の同社取締役会において、同社の販売事業のうち四輪車販売事業からの撤退及び二輪車・ATV、船外機事業への集約を実施するに当り、米国連邦破産法第11章に基づく更生手続を申請することを決議したと発表した。この結果、スズキは米国本土における四輪車販売事業から撤退することになる。

 今回ASMC社は、同社の長期計画を検討する中で、為替を含む経済環境、市場動向、小型車中心の自社のモデルラインナップ、達成可能な販売規模、環境や安全面での法規制の強化などを考慮すると、四輪車販売事業の採算性を確保・維持していくことは極めて困難であると認識する一方、二輪車・ATV、船外機については引き続き販売増加と収益拡大が可能であると判断するに至り、将来有望な分野で効率よく事業拡大と収益改善を進めるため、採算が見込めない四輪車販売事業から撤退し、全ての経営資源を二輪車・ATV、船外機に振り向けることを決定した。

 ASMC社は、四輪車販売事業からの撤退及び二輪車・ATV、船外機事業への集約を進めるに当り、「四輪車販売事業からの撤退後も、米国内全域で従来どおりお客様に対して、全面的な製品保証に基づく無償修理、サービス、部品販売を提供することが出来るようにするために、円滑な形で現行の四輪車販売の販売店網をサービス・部品の販売店網に移行させることを促進すること」、「四輪車販売店が事業を再編しサービス・部品の販売店等に転換することに対して、ASMC社が所定の条件に基づく補償を行なうにあたり、双方にとって良い解決策が得られるようにすること」、「費用と労力を要する法的紛争を効率的に処理すること」、「秩序ある公正な方法で、且つ可能な限り短期間に、ASMC社が今後二輪車・ATV、船外機事業を維持、拡大していく体制を敷くこと」を達成することを目的に、米国連邦破産法第11章に基づく更生手続を申請することを選択した。

 ASMC社の2012年9月30日時点の負債総額は3億4,600万ドル(約280億円)、内1億7,300万ドルはスズキ本体を含むスズキグループに対する債務。なお、スズキは、ASMC社に対する出資額128億円を全額減損処理済み。また、スズキはASMC社に対する債権について、2012年9月30日現在で97億円の貸倒引当金を計上している。

 ASMC社は11月5日の夕刻(現地時間)に米国連邦破産法第11章に基づく更生手続の申請を行う予定。スズキは、ASMC社が円滑な形で四輪車販売事業から撤退出来るようにするために、また、引き続き米国においてスズキの二輪車・ATV、船外機の販売拡大を図るために、ASMC社の事業再編を支援する意向。

 なお、今回の案件がスズキの業績に与える影響については、今後ASMC社による米国連邦破産法第11章に基づく更生手続の進展を注視し、開示すべき事由が発生した際には速やかに開示するとしている。

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