シャープとパナソニックは立ち直れるのか
2012年11月5日 11:00
電機大手8社(三菱電機、日立製作所、東芝、NEC、富士通、ソニー、シャープ、パナソニック)の2013年度中間決算は、最終損益のプラスとマイナスが4対4、通期最終損益の見通しの据え置きと下方修正が4対4と、きれいに二つに分かれた。円高、テレビなどの国内販売の不振、ヨーロッパの景気悪化、中国など新興国の景気後退など経営環境は悪く、上方修正の企業はない。
最終損益プラス組は三菱電機、日立製作所、東芝、NECで、マイナス組は富士通、ソニー、シャープ、パナソニック。前期赤字だったNECは79億円の黒字に、前期黒字だった富士通は海外のパソコン価格の下落等で110億円の赤字に変わったが、変動幅は数百億円規模。ところがシャープは3875億円、パナソニックは6851億円と数千億円規模の最終赤字を計上し、状況は非常に深刻だ。
通期最終損益見通しの据え置き組は三菱電機、日立製作所、NEC、ソニーで、下方修正組は東芝、富士通、シャープ、パナソニック。最終損益はプラスの東芝は半導体価格の下落等を見込んで1350億円から1100億円に下方修正したが、変動幅は18.5%と小さい。三菱電機、日立とともに重電3社の業績は堅実。一方、最終損益が401億円の赤字だったソニーは200億円の通期最終黒字の見通しを全く変えておらず、テレビ事業の収益改善効果が出ると強気で突っ張っている。
シャープの通期最終赤字見通しは2500億円から4500億円へ大幅下方修正され、台湾のホンハイグループに資本支援を仰いで再建途上の経営状況の悪さを浮き彫りにしたが、パナソニックは4~6月期の決算発表時の500億円の黒字が7650億円の赤字に一変。8150億円の巨額下方修正は衝撃的で、発表直後の株価は狼狽売りでストップ安になった。格付け機関によってシャープは6段階、パナソニックは2段階それぞれ格下げされ、シャープは「投機的水準」になってしまった。
パナソニックはデジタル機器の販売不振、海外の景気後退が響いたとはいえ営業利益は873億円の黒字だったが、買収した三洋電機ののれん代の減損、繰り延べ税金資産の取り崩し、事業構造改革費用の計上で最終赤字が6851億円になったと説明している。ところが前期も同様な理由で7800億円の最終赤字だった。このまま赤字が先送りされたら最終赤字1兆円も視野に入ってくる。シャープもパナソニックも、改革による増益効果が1日も早く出てくれないと、大変なことになる。