日立、英原発事業開発会社のホライズンを買収
2012年10月30日 21:53
日立製作所は30日、英国の原子力発電事業開発会社であるホライズン・ニュークリア・パワー社をホライズン社の株主である独E.ONと独RWEから買収することを決定し、ホライズン社の発行済み全株式に対する売買契約を締結したと発表した。今後、同契約に基づき、11月中の買収完了に向けた手続きを進める。同買収により、日立は英国における新規原子力発電所建設プロジェクトを推進していく。
また、建設プロジェクトの計画・推進に向け、日立は英国の原子力業界有数のBabcock International、Rolls Royce、カナダの建設エンジニアリング会社であるSNC-Lavalin社と協力覚書を締結した。日立は、日立GEニュークリア・エナジー社、GE日立ニュークリア・エナジー社、グローバル・ニュークリア・フュエル社はもとより、世界中の原子力関連企業と協力し、同建設プロジェクトを進めていく。
英国は低炭素社会の実現をめざし、2007年以降、原子力発電設備の導入を支持している。同国内では、現在16基の原子力発電設備が稼動し、同国内の全発電電力量の約2割を供給しているが、既存設備の老朽化・建替時期の到来により、原子力発電設備の新規建設に向けた動きが今後活発化すると想定されている。
今回のプロジェクトでは、ホライズン社が保有する英国内のアングルシー島ウィルファおよびグロスターシャー州オールドベリーの2ケ所において、1,300メガワット級の原子力発電設備をそれぞれ2~3基建設する予定であり、そのうち最初の原子力発電所は2020年代前半の運転開始をめざしている。
日立は、ホライズン社の買収が完了し次第、英国政府の炉型審査プロセスに入り、協力企業と共にプロジェクトの準備を進める。
日立は、英国政府が推進する低炭素社会の実現に向けた政策に賛同し、今後ホライズン社を通じて英国における原子力発電所の建設を推進するにあたり、世界で唯一運転実績を持つ第三世代の原子炉である改良型沸騰水型原子炉(ABWR)技術を用いた発電設備を建設していく。ABWRはすでに他の国々で型式認証を取得している技術であり、日本では計画通りに建設された4基の稼働実績がある。
建設段階では各予定地で建設作業員として5,000人から6,000人、運営開始後はサイト毎に約1,000人の雇用を創出することを想定している。また、過去の経験に基づき、当初の建設では費用の約6割の資材、人財およびサービスの調達を地域で行い、以降の建設ではその割合が増えると想定している。
また、日立は英国においても建設工程を支えるモジュール式建設技術を導入し、英国にモジュール組立て施設を設立する。さらに、世界に通用する先進の原子力技術を普及すべく、地元の教育機関や英国内の研究機関等と連携し、人財の育成や建設予定地の経済発展の一端を担っていく。