定着しつつあるLCCはこのまま安定した市場となるのか

2012年10月22日 11:00

 日本に運航する初めてのLCCとして、ジェットスターグループが大阪(関西)-オーストラリアの長距離国際線を就航してから5年。今年は国内LCC元年と呼ばれ、国内初の本格LCCとしてPeach Aviation(ピーチ)が、大阪(関西)-札幌(新千歳)、大阪(関西)-福岡の2路線で運航を開始したのが本年3月1日。以来、遅延・欠航などばかりが話題に上るLCCであるが、着実に就航数を増やし、インフラも整いつつあるようである。

 ピーチの運航は、9月4日の時点で上記2都市の他、長崎・鹿児島・ソウル(仁川)・香港を結ぶ各路線に就航し、1日30便を運航。2012年3月から8月の6カ月間で全路線合計登場者数は60万4103人、平均搭乗率79%、定時運航率89%の実績をあげている。殊、お盆期間中に関しては、国内線の全路線合計提供座席数39600席に対して利用率は94.3%、国際線についても提供座席数14400席に対して利用率88.7%と高い利用実績となっている。

 また、10月18日、国内初となるLCC専用ターミナルが、沖縄県那覇空港において供用を開始。ANAが貨物上屋として借り受けている那覇空港貨物ターミナル内の一部を旅客用に改装したもので、平屋造りのシンプルな構造や、徒歩による登場・降機、ベルトコンベアを利用しない手荷物取り扱いなど、低コストが徹底されたターミナルとなっている。このターミナルの供用開始を受けて、ピーチは同日から大阪(関西)-沖縄(那覇)線の運航を開始。1日4便(2往復)で運航を開始したものの、来年1月21日より1日6便(3往復)に増便する予定だという。同ターミナルには、エアアジア・ジャパン1往復(成田)も就航している。

 さらに、10月28日には関西国際空港にもLCC専用ターミナル、第2ターミナルビルがオープン。これに合わせてジェットスター・ジャパンが大阪を第2拠点として発着便を増便する他、新規路線も就航すると発表している。

 東日本大震災後の消費の自粛ムードの反動により、旅客需要は底堅く推移している航空業界。一方、原油価格については依然として高水準で推移しており、また、航空各社の旅客獲得競争がますます激しくなっている。国内での認知度が高まり、今後も一定の成長を見せるであろうLCC市場であるが、他国には既に倒産・運航休止をしているLCCもあり、淘汰が進んでいる。このまま日本にLCCが定着し、安定した市場を形成出来るのか、今後の動向に注目が集まるところであろう。

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