東芝、米ショーからウェスチングハウスの全出資持分を約1250億円で取得
2012年10月10日 12:14
東芝は10日、10月6日に米大手エンジニアリング会社ショー・グループから、同社の100%子会社であるニュークリア・エナジー・ホールディングスが保有するウェスチングハウス社の全出資持分(同社持株会社株式の20%)を東芝に売却することができる権利(プットオプション)の行使に関する通知を受領したと発表した。
これは、ニュークリア・エナジー・ホールディングスとの契約によりプットオプションが自動行使されたことによるものであり、10月6日の通知受領日から90日後に、東芝は約1250億円で同社が保有するウェスチングハウス社の全出資持分を取得する。今回の買い取りに必要な資金については、手元資金及び借り入れを中心に賄う計画。
ウェスチングハウス社は、米国および中国で8基の新型加圧水型原子炉「AP1000」の建設を進めるとともに、アメリカ、アジア、欧州中近東(EMEA)の3主要地域の事業運営体制を確立し、世界各地での事業拡大に向けた体制基盤を固めるなど、東芝による買収後も順調に事業を拡大している。今後もグローバル市場での受注拡大を図り、企業価値の更なる向上を目指す。
東芝は、ウェスチングハウス社株式について、「関心を寄せている企業もあり、当社が過半数を維持することを前提に、事業ビジョンや長期的な事業戦略の共有、同社とのシナジー等を総合的に判断・評価した上で、新たな出資パートナーを迎え入れることを検討している」と述べている。これにより、ウェスチングハウス社の事業強化に加え、今回の買い取りに伴う東芝の財務負担を軽減することが可能であると考えているという。
なお、ショーとは、これまで米国および中国のプロジェクトにおいてAP1000の建設に関して協力関係にあり、既に受注している米国および中国の案件については予定通り工事完成に向けて注力していくことで合意しているという。また、プットオプション行使後の、今後の案件の建設エンジニアリングについては、案件毎に最適なパートナーを選定することを基本方針とするという。