【話題】日銀短観で景況感悪化鮮明
2012年10月2日 15:14
日銀が1日発表した9月短観(企業短期経済観測調査)では、輸出低迷などを主因として、特に大企業製造業の景況感悪化が鮮明になった。堅調だった内需にも減速懸念が強まっているため政策対応が避けられないだろう。
9月日銀短観で企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業製造業でマイナス3となり前回6月調査に比べて2ポイント低下した。3四半期ぶりの悪化だった。世界的な景気減速を背景として自動車が前回に比べて13ポイント低下したのをはじめ、生産用機械が12ポイント、鉄鋼が11ポイントの低下幅となった。一方、大企業非製造業はプラス8となり、前回に比べて横ばいとなった。建設や宿泊・飲食サービスが改善するなど、全体として製造業に比べて堅調だった。
■海外不透明、エコカー補助金終了で内需も弱い
業況判断指数(DI)の3カ月先の見通しは、大企業製造業が今回と横ばいのマイナス3、大企業非製造業が今回に比べて3ポイント低下のプラス5となった。堅調だった内需もエコカー補助金の終了などで悪化を見込んでいる。さらに今回の回答基準日は9月11日で、同日までに約7割が回答しており、日中関係悪化に伴う中国での操業一時停止、日本製品に対する不買運動、日中双方の旅行客キャンセルなどの影響は反映されていないとみられるため、景況感が一段と悪化する可能性が高まっている。
こうした景況感の悪化に見られるように、化学、鉄鋼、非鉄、機械、電機、自動車、海運など、輸出関連、素材関連、景気敏感関連などの事業環境は厳しい。そして今期業績見通しの下振れが避けられない状況となり、7~9月期決算発表を前にして業績見通しの下方修正を発表する企業も出始めている。また堅調だった内需関連も、エコカー補助金の終了、復興需要の一巡、日中間の旅行客キャンセルの影響に加えて、残暑の影響で秋物商戦の不発も警戒され、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、アパレル専門店、家具・ホームセンターなど、小売セクターの業績も楽観視できない状況となってきた。
■解散前に大型補正予算などの景気対策を求める声
株式市場では総悲観の状況となりそうだが、期待は政策対応だろう。野田第3次改造内閣が発足して衆院解散・総選挙を巡るバトルが再開されるが、急速に景況感が悪化している状況下であり、政治空白に繋がるバトルは世論の強い批判を招くだろう。また、14年4月からの消費税率引き上げに向けて、経済の好転を確実にしておく必要もあるだけに、解散前に大型補正予算などの景気対策を求める声が強まりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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