製品化の広がるヘスペリジン、一定の市場を確立か
2012年10月1日 11:00
温州みかんなどの柑橘類に多く含まれるポリフェノールの一種、ヘスペリジン(ビタミンP)。古くから健康維持に役立つ物質として知られているものの、従来のヘスペリジンは水に溶けにくく、体内に吸収されにくいものであった。それが近年の研究開発により改善され、飲料やサプリメントとしての利用が広がっている。
大正製薬は、医薬品の開発で培ったノウハウを活かし、科学的根拠にもとづいて開発された食品などに関する健康ケアブランド「Livita」から、モノグルコシルヘスペリジンを配合した特定保健用食品「ミドルケア 粉末スティック」を発売。モノグルコシルヘスペリジンは、ヘスペリジンに糖を結合させて水溶性と吸収性を高めた成分で、肝臓での中性脂肪の合成を抑え、また、分解を促進することで、血中の中性脂肪を低下させるとのこと。
また伊藤園から販売されている、同社の炭酸飲料として初めての特定保健用食品「Stylee Sparkling」には、製品1本あたりにモノグルコシルヘスペリジンを340mg含有。中性脂肪が高めの人や、脂肪の多い食事を摂りがちな人に適した製品設計となっており、毎日継続的に飲用できるようノンカロリーで、全国のコンビニエンスストアや量販店などの全業態で展開することで広く市場に認知させ、定着を図っている。
さらに江崎グリコは、秋冬は外気の寒さや足元の冷たい空気、夏は室内での冷房が気になる女性向けにナノヘスペレチン配合サプリメント「温潤ヘスペリジン」を通信販売限定で発売。同製品のヘスペリジンパワーは、1日2粒でみかん55個分に相当するという。「温潤ヘスペリジン」に配合されている「糖転移ヘスペリジン」は、ヘスペリジンにブドウ糖を結合させることで体内への吸収が約3倍に向上。同様に「ナノヘスペレチン」はグリコが独自に開発した素材で、ヘスペリジンの10倍以上の吸収性をもつ。この2つの成分を配合し、素早い吸収、高い吸収性、長い持続時間を実現している。
毛細血管の強化・血中コレステロール値の改善効果・血流改善効果・抗アレルギー作用・発ガン抑制作用など、幅広い効果が期待出来ると言われるヘスペリジン。昨年来のレスベラトロールブームや近時の乳酸菌ブームの陰に隠れているが、もっと注目を集めるべき成分と言えるであろう。今後、各企業がどういった商品展開を見せるのか、期待が高まるところである。