日清紡HD、日本無線を中心にエレクトロニクス事業を構造改革

2012年9月20日 11:46

 日清紡ホールディングス(HD)は20日、同社のエレクトロニクス事業において抜本的な事業構造改革を実施すると発表した。

 日清紡HDのエレクトロニクス事業セグメントは、日本無線、新日本無線、長野日本無線、上田日本無線とその子会社群により構成されている。そのうち半導体の製造販売を行う新日本無線においては、昨年8月に発表した構造改革プランに基づき、海外生産の拡充と国内生産拠点の縮小、大幅な人員削減を実施した結果、すでに2012年第1四半期に黒字転換を果たしている。

 そのため、今回は、無線通信技術を核に事業展開している日本無線、長野日本無線、上田日本無線(以下、エレクトロニクス3社)において、新たな成長に向けた抜本的な事業構造改革を実施する。今回の構造改革の中心は日本無線になるが、事業関連性の高い長野日本無線、上田日本無線と成長戦略を共有し事業を再編することにより、グループ全体の経営基盤を強化し、2018年3月期までにエレクトロニクス3社(連結ベース)で売上高1,700億円、営業利益率8%を目指す。

 具体的には、国内からアジア新興国市場へと生産・販売をシフトし、グローバルに事業を拡大する。日本無線最大のセクターであるソリューション事業は、国内官公需向けをメインに展開しているが、今後は高度成長を続ける東南アジア新興諸国にフォーカスし、防災無線情報システムを中心に海外ソリューション事業を拡充する。

 また、スマート化関連事業も拡大する。エネルギーシステム全体が合理化されたスマート化社会の実現にあたっては、需要家と供給者の双方向通信や多方向通信が不可欠であり、爆発的に増加する情報の処理と制御が鍵となる。無線通信のパイオニアである日本無線を中心に、情報通信技術・センサー技術の革新を通じてスマート化社会の実現に貢献し、日清紡HDグループ事業の成長を果たす。

 さらに、グローバルレベルでコスト構造改革を実施する。エレクトロニクス3社の生産設備・人員は重複が多く、加えて購買の重複や物流の錯綜が最大のコストアップ要因となっている。なかでも、日本無線三鷹製作所(東京都三鷹市)の生産については管理要員が過大であり高齢化も進んでおり、設備の老朽化も著しく、高コスト構造となっているという。

 そのため、三鷹製作所の生産機能は、長野日本無線・上田日本無線・海外生産子会社に移転する。あわせて、技術部門および間接部門も、新生産拠点および営業拠点との連携を考慮した新立地に移転し、三鷹製作所は閉鎖する。また、長野日本無線の海外生産子会社(中国・広東省深セン市)を拡張し、生産能力を大幅に拡大する。あわせて、東南アジアにおける新生産拠点の設立に着手する。さらに、エレクトロニクス3社の購買一元化、海外部品調達の拡充および物流体制の見直しによりコスト削減を進める。

 加えて、構造改革にともなう最適人員体制の構築のため、日本無線の従業員約2,900人の内、希望退職の募集により約650人の人員を削減する。また、生産・技術・間接部門の移転により遊休地化する三鷹製作所の土地、およびSAWデバイス事業の新日本無線への移管により遊休地化する埼玉工場(埼玉県ふじみ野市)の土地については売却を検討する。

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