【話題】日銀の金融緩和、効果は?

2012年9月20日 10:02

■ユーロ圏、米国、日本の緩和策出揃い打ち止感、関心は政治へ

  日銀は19日の金融政策決定会合で、政策金利を0~0.1%とする事実上のゼロ金利政策を維持するとともに、資産買い入れ基金を10兆円増額して総額80兆円とする追加緩和策を決定した。

  増額分10兆円の内訳は、長期国債買い入れを5兆円増額して期限を13年12月末まで延長、短期国債買い入れを5兆円増額して期限は13年6月末で据え置きとしている。長期国債と社債の買い入れ入札の下限金利(0.1%)撤廃も決定した。

  株式市場では日銀金融政策決定会合の直前になって、今回は追加緩和見送りとの見方が急浮上して警戒感を強めていたため、追加緩和の決定や10兆円という基金増額の大きさがポジティブ・サプライズとなり買いが優勢になった。日経平均株価は取引時間中に前日比174円76銭(1.81%)高、TOPIXは前日比11.18ポイント(1.48%)高まで上昇する場面があった。

  日銀の追加緩和決定を受けて、当面は市場に安心感が広がる展開を期待したいところだ。欧米株に対して日本株の出遅れ感が強いことも支援材料だろう。ただし、追加緩和による景気へのプラス効果は限定的との見方が強いだけに、株式市場でのプラス効果の持続性が焦点となりそうだ。

  9月上旬から続いた主要国・地域の金融会合を振り返ると、9月6日のECB(欧州中央銀行)理事会では、南欧諸国の国債を流通市場で無制限に買い取ることで大筋合意した。12日~13日の米FOMC(連邦公開市場委員会)では、米FRB(連邦準備制度理事会)が期限や総枠を設けずにMBS(住宅ローン担保証券)を月400億ドル購入するという量的緩和策第3弾(QE3)を決定した。そして今回の日銀の追加緩和決定と、いずれもほぼ市場の期待どおりの結果となり、世界の株式市場や商品市場では好感する動きが優勢となっている。

  しかし市場が期待する金融面での政策対応は、ユーロ圏、米国、日本という主要国・地域の対応が出揃ったことで当面は打ち止めとなる。この後は、日本では民主党代表選と自民党総裁選を経て、10月召集が予想される臨時国会が衆院解散・総選挙含みとなるだろう。そして米国では大統領選が本格化する。中国については、10月の共産党大会を控えて権力闘争が起こっている可能性もあり、当面の金利引き下げは期待薄だろう。したがって世界的に、金融面での政策対応が出尽くし、政治の空白期間入りという状況になる。

  当面は米国の主要経済指標と、米国で10月中旬から、日本で10月下旬から発表が本格化する7~9月期企業業績に関心が集まる。日本では日中問題の影響も含めて、輸出関連や景気敏感関連の主力大型株を中心に、通期下振れに対する警戒感が強まるだろう。

  さらに、米国の主要経済指標に弱い内容が相次ぐような状況になれば、来年は米FRBに対する量的緩和策第4弾(QE4)督促相場ということになりかねない。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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