【編集長の視点】「昔スケジュール相場、今イベント相場」の違いを理解することが重要=浅妻昭治

2012年9月11日 11:13

【マーケットセンサー】

  現在の株式市場は、イベント相場一色である。経済指標や業績、重要経済会合などの発表・開催待ちで、この動向を先読み・先取りし、イベント発表とともに経済指標なら、市場予想をコンマ何パーセント上回ったか下回ったか、経済会合なら期待した経済政策の発動があったかどうかで乱高下し、しばらくすると織り込み済みとして次のイベント待ちとなるのである。その乱高下は、常に先物取引が絡むから一方通行で、なかなか相場の方向性、トレンドは生まれず、銘柄個々のバラエティも無視されがちとなる。

  昔のことをいったら笑われそうだが、かつては市場には、もっと銘柄個々に直結する材料が多かった気がする。イベント相場も、「スケジュール相場」と呼ばれていて、市場スケジュールが、株価材料に取上げられるのは、よほど株価材料が枯渇した時だけに限られた。

  市場参加のプレーヤーが、まだメーンバンクや企業系列が機能していて、経済官庁も行政指導力を誇示し、幹事証券が幅を利かせて、仕手筋なる買い主体までいて多彩だったから、当然、株価材料の発信元もさまざまで、材料自体も多様性に富み、サプライズも多かったようである。

  こうした内向きの市場が変わったのは、「フリー、フェア、グローバル」をキーワードにした「ビッグ・バン」以来で、バブル景気の破たんがこれに拍車を掛けた。市場の買い主体には、外国人投資家が突出し、市場全体が、グローバル化して、為替も株価も、イベント相場一色となった。好き嫌いの別なく、このイベント相場に立ち向かわなくては株式投資そのものが不可能となる。

  この9月相場も、すでにいくつかのイベントを通過、イベントがポジティブに受け取られて株価も上放れ展開したが、なお明12日から開催予定のFOMC(米連邦公開市場委員会)を最大のイベントに、14日のメジャーSQ値(特別清算指数)算出、19日の日本航空 <9201> (東1)の再上場などと目白押しとなっている。

  そのイベントだらけの9月相場で、このFOMCと並んで12日に控えるのが、アップル社の新型スマートフォン「iPHONE5」の発表である。発表日が伝わった前週5日は、この関連株の株価は、織り込み済みとして反応薄で、イビデン <4062> (東1)のように年初来安値を更新する銘柄まで出たが、ここでもう一度アタック、安値水準にいる関連株に照準を合わせてみたい。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

【関連記事・情報】
【編集長の視点】マーベラスAQL、高値圏頑強、東証1部への指定替え有力候補(2012/09/05)
【編集長の視点】良品計画は新高値、1Qの利益進捗率高く業績上ブレの可能性(2012/09/05)
急騰銘柄を徹底予想する日刊株式投資情報新聞(メルマガ無料)好評!会員が急増中(2012/07/20)
プロの記者が急騰銘柄を徹底予想!日刊株式投資情報新聞(無料)メルマガ登録受付中!(2012/07/20)

関連記事

最新記事