東芝の二次電池がスズキの新型「ワゴンR」に採用
2012年9月6日 18:18
東芝は6日、同社の二次電池「SCiB」が、スズキの新型「ワゴンR」、「ワゴンRスティングレー」に搭載されるアイドリングストップシステム「ENE CHARGE(エネチャージ)」のバッテリーに採用されたと発表した。SCiBの持つ急速充電性能(高回生性能)、長寿命性能などが評価され、採用に至ったという。
新型「ワゴンR」には、スズキ独自の減速エネルギー回生機構「ENE-CHARGE」が搭載されている。「ENE-CHARGE」は、減速時の運動エネルギーを高効率に充電するシステムで、蓄えた電気を電装品に供給することで、発電によるエンジンの負担を軽減し燃料消費を抑制して低燃費を実現するもの。
SCiBセルは負極に東芝独自の材料を採用したことにより、急速充電性能、長寿命性能を有し、低温下など過酷な使用条件下でも短絡や劣化の原因となるリチウム金属が析出しにくいという特長を持つ。今回納入するSCiBセルは、3Ahの高入出力タイプで、容積あたりの回生受入れ能力(常温で約6,000W/L)が高く、コンパクトなサイズで大電流を受入れ、蓄電することが可能。また、低温での受入れ能力(低温で約1,400W/L)も高く、急峻なエネルギーの入出力が必要なアイドリングストップシステムのバッテリーに適した設計を採用している。
また、同システムには、アイドリングストップ車専用の鉛バッテリーとSCiBを組み合わせて使用されている。SCiBと鉛バッテリーは電圧特性に類似性が高いことから、一般的なリチウムイオン電池を組み合わせた場合に必要である電圧変換器が不要になり、システム構成部品の削減、低コスト化に貢献できる。
東芝はこれまで、三菱自動車工業の電気自動車「i-MiEV(アイ・ミーブ)」、「MINICAB-MiEV(ミニキャブ・ミーブ)」、ホンダの電気自動車「フィットEV」に対して、高容量タイプ(20Ahセル)のSCiBの採用実績がある。今後は、アイドリングストップシステム、HEV等に適した高入出力タイプのSCiBの製品化にも注力し、車載向け事業の取り組みをさらに加速していくとともに、スマートグリッドなどで利用される電力貯蔵や周波数変動抑制向けなど新たな市場での事業も拡大していく方針。