トヨタとデンソー、クルマ×アプリ連携プラットフォームを共同開発

2012年9月4日 16:35

 トヨタ自動車とデンソーは4日、リアルとバーチャルの融合により、クルマの新しい楽しみ方を体験できるプラットフォームとして、走行データをサーキットなどで採取し、そのデータをアプリ向けにリアルタイム送信できる装置「CAN-Gateway ECU」を開発し、本日公開したと発表した。「CAN-Gateway ECU」は、小型FRスポーツ「86」を対象に、2013年春にレース関係者へモニター提供し、2013年末に発売を予定している。

 トヨタとデンソーが共同開発した「CAN-Gateway ECU」は、専用に搭載したGPSからの位置情報とCANと呼ばれる車両内部のコンピュータ同士のデジタル通信情報をスマートフォンなどの外部デバイスに公開できる装置。「CAN-Gateway ECU」から取得した情報を使うことで、アプリクリエーターは車両内部の複雑なCAN仕様を意識せずに、一般的なアプリ構築技術のみでゲームなど様々なアプリ制作が可能となる。

 クルマに装備した「CAN-Gateway ECU」は、走行中の車両から、GPS信号、アクセルペダルストローク、ステアリング回転角、ブレーキ操作信号、シフト操作信号、エンジン回転数、車速など自分の走行データを受信。USBメモリーを使って富士スピードウェイなどの主要サーキットで走行したデータを記録し、家庭用ゲーム機PlayStation 3専用ソフトウェア『グランツーリスモ5』をベースに技術開発された専用のソフトウェアへ入力すると、「グランツーリスモ」上で走行シーンを再現できる上、入力した自分の走行データを使いバーチャルな世界でバトルを楽しむことなども可能。さらに、サーキットでのライン取り、ブレーキやアクセルの踏み込みタイミングなど自分の走りや運転テクニックをゲーム上で再現して学習できるため、運転技術の上達にも結びつく。

 また、Bluetooth通信を使って受信データをスマートフォンに送信することで、水温などの車両情報をスマートフォン画面上にリアルタイム表示できる上、そのデータを蓄積すれば、コースのライン取りやブレーキングポイントなどのコーチングをしてくれる「ドライビング・アプリ」としても活用可能。

 トヨタとデンソーは、ソフトウェア業界で新しい世界を切り拓いてきたポリフォニー・デジタル、電算システムなどのアプリクリエーターとの検討結果をフィードバックし、USBメモリーのデータフォーマットおよびBluetoothの通信プロトコルを策定する。また、情報開示を希望するアプリクリエーターに対して接続に必要な情報を順次開示することで、様々なアプリ開発を促進し、クルマの新しい楽しみ方を広めていく。

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