東芝など6社と日本気象協会、洋上風力発電建設技術と事業化を共同研究

2012年9月4日 12:59

 日立造船、一般財団法人日本気象協会、東芝、JFEスチール、住友電気工業、東亜建設工業、東洋建設の6社および1協会は4日、洋上風力発電建設技術および事業化に関する共同研究会として、「地域振興型アクア・ウィンド事業化研究会」を設立したと発表した。

 同研究会は、地域協調や地域経済の活性化など地域振興に寄与する洋上風力発電事業の実現に向けた調査・検討を行い、各社の特性や技術力、知識を結集して洋上風力発電に関する事業提案を行うことを目的としている。

 事業提案については、今年度内に有力と考えられるフィールドを選定して風況観測を実施する予定。次年度には、風況観測結果および建設費・運営費の試算結果に基づいて経済性の評価を行い、研究会として最終的な事業化の可否を判断する。事業化が可能と判断された場合には、別途、特別目的会社(SPC)を設立し、具体的な事業の実現を目指して活動していく。SPCには、研究会メンバー企業の他、エネルギー関連企業や地元企業・団体等からの出資も募る。

 このように、洋上風力発電に適したフィールドの選定、風況観測と事業性評価から、SPCによる事業遂行までを民間主導で実施する。数年後には、7.5MW未満のパイロットプラントを数箇所に建設し、10年後には数百MW規模の洋上ウィンドファームの建設を目指す。

 また、浮体式洋上風力発電については、現時点で研究開発段階と捉えられていることから、同研究会では技術開発と実証試験に向けた取り組みを実施していく。具体的には、浮体動揺に対する風車挙動の検討、コスト低減に向けた検討、洋上風車設備のメンテナンス手法の構築などを実施する。実証試験に関しては、着床式パイロットプラントのフィールドや供用可能な設備を活用し、さらに試験終了後の設備利用を可能とする試験計画の立案を行う。

 洋上風力発電は、再生可能エネルギーの一つとして温室効果ガス削減の観点からも注目されてきたが、東日本大震災以降は電力供給の側面でもより大きな注目を集めている。日本は、排他的経済水域面積が世界第6位の海洋国であり、洋上は平均風速が大きいことや乱れが小さいことから、安定的・効率的な発電が見込まれ、着床式ならびに浮体式の洋上風力発電が期待されている。

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