7月の消費者物価指数:金融緩和を拒否する理由は無くなった

2012年9月3日 20:11

 8月31日に総務省から発表された7月の「消費者物価指数(※下部に説明あり)」は前年同月より-0.4%で99.3、コア指数は-0.3%で99.5となりました。総合指数の前年比マイナスは2ヶ月連続、コア指数の前年比マイナスは3ヶ月連続となりました。

 品目別に前年同月比を見ると、「食料」が-0.4%、「住居」が-0.3%、「光熱・水道」が+3.0%、「家具・家事用品」が-3.1%、「被服・履物」が+0.2%、「保険・医療」が-0.6%、「交通・通信」が-1.2%、「教育」が-1.8%、「教養・娯楽」が-0.2%となりました。

 上昇圧力としては、原発問題による電力供給不足から電気料金が上昇(+5.0%)していることがあげられます。

 下落圧力としては、冷蔵庫(-29.4%)やテレビ(-4.2%)が引き続き値引き合戦をしていることや、ガソリン価格の下落(-6.0%)があげられます。

 日銀の主導で行う金融緩和ですが、その実施の目安として消費者物価指数が用いられています。原発問題により電力価格が上昇してしまい、表面上指数がプラス転換してしまったことで金融緩和に消極的でしたが、それを打ち消す景気後退で再びマイナス転換となりました。これで名実ともに金融緩和を拒否する理由がなくなりましたね。

 現状では更なる金融緩和をしたからといって、実体経済にそれほど影響を与えるとは思えませんが、投資家マインド(主に外国人投資家)に大きな影響を与えることは3月の株高・円安相場で証明されました。とりあえず、行き過ぎた円高を是正して輸出企業に一息つかせてあげたいところです。

 ※最近の消費者が購入する商品やサービスの値段を表す指標。購入価格は好景気には上がり、不景気には下がりやすいことから、価格変動の大きい生鮮食品を除いたコア指数が景気判断の目安に使われる。2005年=100。

 純粋な物価下落が続いてしまうと、企業の得る利益は減ってしまいます。企業の利益が減れば、給与・賞与が減らされますので、さらに消費は縮小してしまいます。その結果、またまた企業の利益が減ってしまうという悪循環に陥ってしまいます。基本的に、物価の下落が続くことは経済にとってマイナスになりますのでご注意ください。

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