JR北海道、木古内-江差間の42.1kmを2014年度初頭に廃止へ
2012年9月3日 17:56
JR北海道は3日、2014年度初頭に江差線(木古内-江差間、42.1km)の鉄道事業を廃止すると発表した。本日、沿線自治体に対してその説明を行った。
江差線については、2015年度に北海道新幹線新青森・新函館(仮称)間が開業すると同時に、JR北海道から経営分離され、第3セクターとして発足されることが決まっており、その後江差線はJR北海道の路線としていわば「飛び地」となることから、どう対応するかが喫緊の課題となっていた。
JR北海道は江差線廃止の理由について、「現状、利用状況は極めて少なく、鉄道が地域の交通手段としての役割を担うには大変厳しい現実となっている。また、線路設備等の老朽化により、今後莫大な経費が必要となることから、社内で検討を重ねてきた結果、鉄道を維持していくことは困難であるという結論に至った」と説明している。
江差線は昭和11年に全線開通して以来、76年にわたり地域の重要な交通手段として利用されてきたが、モータリゼーションの進展、沿線地域の過疎化などの影響により、利用者が減少の一途をたどっている。輸送密度はJR北海道発足以降、1987年度の253人から2011年度には41人と減少し、6分の1以下と極めて低い状況にあり、JR北海道の営業線区の中で最も利用が少ない線区となっている。
また、収支状況も、営業収入は2010年度で1,600万円に対して経費は20倍以上を要していると推計されており、差し引きすると年間約3億円以上の赤字となっていた。
さらに、当該線区の一部は山間豪雪地域であり、トンネルや雪覆い設備、落石防護工、長大橋りょう等の鉄道施設も老朽化が進んでおり、将来的な維持管理には相当な費用が必要となることが明らかであることなどから、今回JR北海道は江差線の廃止を決めた。
なお、沿線道路の状況としては、木古内・上ノ国間は道道江差木古内線、上ノ国・江差間は国道228号がそれぞれ並行している。道道江差木古内線については2011年度に新トンネルの建設が着工されたほか、改良工事が進められているが、現状でもJR北海道で鉄道不通時の代行バスなどを支障なく運行しているという。