920MHz帯の解放で、スマートハウスの実現も?
2012年9月3日 11:00
近時、機器同士をネットワークで繋ぎ、電力需給のモニタリングを行うことで、機器を効率的に制御するHEMS(Home Energy Manegement System)に注目が集まっている。こうした中、2012年7月に新たに開放された920MHz帯は、既存の無線との電波干渉を起こしにくく、低消費電力でありながら長距離のデータ通信が可能であるため、その活用に期待が高まっている。
920MHz帯は、ZigBeeやBluetoothが使用する2.4GHzに比べて電波の回り込み特性に優れているため、壁や障害物がある場所でも安定な通信を確保することが可能なもの。既にアメリカ、中国、韓国、オーストラリアで使用されており、欧州でも開放が検討されるなど、世界で共通して使用される周波数帯となりつつあり、今後もますます拡大されると考えられている市場である。
こうした中、半導体メーカーのロームが、国際標準規格「IEEE802.15.4g」に準拠した特定小電力無線モジュール「BP3596」を開発したと発表した。8月からサンプル出荷を開始し、9月から当面月産10万個の体制で量産を開始する予定だという。この「BP3596」に、先の周波数帯920MHz帯が利用されている。新製品では、ローパワーを強みとするロームグループ ラピスセミコンダクタの無線通信LSI「ML7396B」を使用することで、業界トップクラスの低消費電力(スリープ時0.9μA)を実現。スマートタップや家電製品などあらゆる機器に搭載でき、低消費での無線ネットワークが構築できるという。その優れた低消費性能により、電池駆動の機器にも使用が可能で、さらにチップアンテナも内蔵しており、すでに国内電波法認証を取得しているため、セットに組み込むだけで、すぐに無線設備として使用できる。
スマートハウスという言葉が広まり、さらに東芝が、ホームITシステム「フェミニティ」との接続で、スマートフォンでの操作が可能なエアコンの発売を発表するなど、スマート家電の登場が間近となっている。こうした傾向は、壁や障害物がある場所でも安定な通信を確保することが可能な920MHz帯の登場でさらに加速するであろう。今までは無線で繋がることが考えられなかったような機器が無線で繋がるようになる。あらゆるものが無線で繋がった時、どのような生活が待っているのか、期待が膨らむ一方である。