モバイル環境で広がる災害時の対策とは

2012年9月3日 11:00

 震災や豪雨などを目の当たりにし、災害を身近に意識するようになった中、8月30日からの防災週間に合わせて様々な防災・災害用の商品やサービスの展開が、普段以上に活発化している。殊、近年爆発的に普及したスマートフォンをはじめとするモバイル環境に関してはその動きが顕著となっている。

 NTT東日本およびNTT西日本(NTT東西)は、「災害用ブロードバンド伝言板(web171)」に、スマートフォンへの対応や伝言登録の通知機能などの新たな機能を追加した「災害用伝言板(web171)」の提供を開始。伝言の保存期間を、これまでの48時間から最大6ヶ月(1つの災害で本伝言板の提供を終了するまで)に拡大し、さらに、スマートフォンにより伝言板ホームページへアクセスした場合には自動でスマートフォン専用画面を表示。日本語以外にも、英語・中国語・韓国語にも対応しているという。

 これに加え、NTTドコモ・KDDI・沖縄セルラー電話・ソフトバンクモバイル・イー・アクセス・ウィルコムの各社は、web171において一括で安否情報が検索可能になる「全社一括検索」の提供を開始した。2010年3月から、携帯・PHS災害用伝言板サービスにおいては、各事業者間を跨り安否情報を検索することができるものの、NTT東西の提供するweb171とは検索機能の連携を行っておらず、それぞれの伝言板において検索する必要があった。それが8月末から、一度の操作によって一括検索できるようになったという。

 その他、KDDI・沖縄セルラーは、大規模災害が発生した際に、被災地域における通信手段の確保に寄与するため、公衆無線LANサービス「au Wi-Fi SPOT」のエリアを無料にて開放すると発表。「au Wi-Fi SPOT」は、公共交通機関や飲食店、コンビニエンスストアなど、日常よく利用される場所を中心に展開しているほか、スタジアムや大学など災害時には避難場所としても利用が見込まれる場所もエリア化されている。これらの場所で大規模災害発生時に「au Wi-Fi SPOT」を無料開放することで、より多くの人がインターネットを利用して情報収集や安否確認などを行える環境を提供する。

 携帯電話やスマートフォンが、一人一台以上にまで普及して久しいものの、上記のようなサービスが今まで実現していなかったことの方が驚きと言えるかもしれない。実際に災害を目の前にしなければ気付けない障害もあるであろうが、平時の内に、少しでもキャリアや企業の垣根が取り払われることを期待したい。

関連記事

最新記事