富士フイルム、豪サルマット社のBPO事業を約300億円で買収
2012年8月28日 14:22
富士フイルムホールディングス(HD)は27日、オーストラリア最大のビジネスサービスプロバイダーであるSalmat Limited(サルマット社)との間で、同社のビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)事業を買収することで合意し、株式譲渡契約を締結したと発表した。
買収対象は、サルマット社の100%子会社Salmat Document Management Solutions Pty. Limited (SDMS社)とその傘下にある11の子会社、およびSDMS社のビジネスをアジアで展開する事業会社Salmat Asia Limited(SAL社)の全株式で、買収金額は3億7,500万豪ドル(約305億円)。
BPOとは、企業活動における社内業務の一部を専門事業者に企画・設計・運営まで一括して委託すること。低コストで高い品質のサービスが得られることから、近年、業務プロセスの効率化や高品質化を目的にBPOを利用する企業が増え、ワールドワイドで年平均5~7%の市場成長が予測されている。
今回、富士フイルムHDが全株式を取得するSDMS社とその子会社およびSAL社は、サルマット社の主要事業の一つであるBPO事業を担っており、2012年6月期の売上げは3億1,600万豪ドル、営業利益(無形資産償却費控除前)は4,950万豪ドル。BPO事業としては、電気・ガス・水道・通信会社などのエンドユーザーへの請求書や金融機関の口座取引明細書といった重要郵便物の出力・配送を中心とした業務に加え、顧客企業の請求業務の電子化・自動処理によるコストダウン、電子メールによる配送サービス、紙文書をスキャン・データベース化し管理・保存を行うサービスを展開している。また、独自の高いITデータマネジメント能力を活かし、デジタル印刷機などとワークフローシステムを組み合わせ、プロセスを自動化するなどオペレーションの効率化・低コスト化を実現している。
富士フイルムホールディングスは、ドキュメントソリューション事業を重要な成長分野と位置づけており、複合機やプリンターなどの機器の販売を中心としたビジネスから、ソリューションサービスビジネスへの転換を強力に推進している。
今回、SDMS社の株式を取得することにより、オーストラリアにおいてBPOサービスプロバイダーとして最大のサービス提供能力を獲得する。今後は、SDMS社の持つBPOに関するノウハウと、富士フイルムグループの持つ強力なマーケティング力(営業力、ブランド力、顧客基盤)を融合することで、中国・アジア市場へのソリューションサービスビジネスの展開を促進する。同時に、次世代型インクジェット印刷機Jet Pressシリーズを中心とした印刷機器をプロセスに組み込むことで、従来のトレンドを超える成長・拡大を目指す。また、サルマット社とのパートナーシップを築きつつ、SDMS社が有する膨大な顧客データのハンドリングから出力、後処理までの一貫したワークフロー構築に関する知識・経験を活かし、富士フイルムグループのドキュメントアウトソーシングビジネスと連携し、ソリューションサービスビジネスの拡大に結び付けていく。