シンボル株はシャープとソニー!?アップル関連の業績下方修正銘柄に「リターン・リバーサル」余地も=浅妻昭治

2012年8月20日 13:49

【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】

  ボールが投げられて打ち返されるまでに21日もかかった。滞空時間の長いボールであった。ボールを投げたのは、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁で、打ち返したのが、ドイツのメルケル首相である。雲散霧消したと思ったドラギ総裁の7月23日のユーロ防衛発言が、メルケル首相の「通貨ユーロを維持するためにあらゆる手段を取る」との8月16日の発言で再度、クル-ズアップされて、政策発動への期待が高まった。

  この結果、ようやく欧州の債務問題の懸念は大きく後退して、「リスク・オフ」のシンボルだった国債が買い直されて長期金利が上昇、為替相場では円高が修正され、「リスク・オン」の株式が息を吹き返した。折からお盆休み明けである。遅ればせながらの「サマー・ラリー」の待望論も高まろうというものである。

  となれば「サマー・ラリー」の第1弾は、下げた株ほどよく戻るとされる「リターン・リバーサル」が中心になるはずである。前週末の市場ではすでに内需株売りのハイテク株買いで、日経平均株価が、今年5月以来の9100円台の高値を回復したが、今週もこの延長線上で上値を試す展開が想定される。

  「リターン・リバーサル」の有力セクターには、2つの銘柄群が浮上するはずである。一つは、欧州向けの輸出比率の高い銘柄群で、円高・ユーロ安の一巡が買い手掛かりで、この銘柄群では、東芝テック <6588> 、マツダ <7261> などが、より材料株思惑を強めそうだ。

  もう一つは、米国のアップル関連株である。アップルの株価が、9月に発売が観測される新型iPhoneへの期待で上場来高値まで買い上げられて注目度が高まっており、今年1月にアップル自身が公表した取引先企業リストにノミネートされた銘柄への波及効果が見込まれるからである。リストのなかには、すでに上場廃止となったエルピーダメモリも含まれて、やや問題含みだが、そのなかで敢えて折からの今3月期4~6月期決算発表で今期業績を下方修正した銘柄へのアプローチを強めたい。シンボル株は、シャープ <6753> とソニー <6758> となり、これは、日本のハイテク株をグローバル市場のなかでどう位置付けるかにも関係する大きな相場テーマにも発展しそうだ。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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