スマートフォン向け技術、水面下で進化
2012年8月20日 11:00
日経BPコンサルティングの「携帯電話・スマートフォン"個人利用"実態調査2012」によると、国内のスマートフォンの普及率は18.0%となっており、2011年6月実施に実施された前回の9.5%から1年間でほぼ2倍に拡大している。普及が進むにつれて多様化が進むアプリケーションに注目が集まりがちであるが、スマートフォン自体も進化をすべく、多くの企業がその部材の研究・開発を実施している。
太陽誘電は、ノイズ対策向け部品の電源用積層チップビーズインダクタBKシリーズPタイプ「BKP1005」(1.0x0.5x0.5mm)、「BKP0603」(0.6x0.3x0.3mm)、および積層チップビーズインダクタBKシリーズ「BK0603」(0.6x0.3x0.3mm)のラインアップ拡充を発表。これらの商品は、スマートフォンに代表される小型モバイル機器などの電源回路や信号回路から発生する高周波ノイズ対策向けのフェライトチップビーズで、スマートフォンなどの小型モバイル機器の高機能化や高効率化に貢献するものとなる。
また日本テキサス・インスツルメンツは、スマートフォン向けの電力容量5WのACアダプターにおいて、スタンバイ時電力をさらに低減することで、商用AC電源に接続したままの場合でも消費電力を削減する、画期的な高効率電源管理コントローラ製品ファミリー初の製品として、「UCC28700」を発表。一次側制御のコントローラ製品で、より小型のACアダプターおよびワイヤレス・パワー充電ステーションや、その他のAC電源動作の機器を実現しているという。
その他、村田製作所は、0603サイズで世界最高インダクタンス値となる270nHのチップインダクタの商品化を発表。スマートフォンや携帯電話をはじめとする小型モバイル機器に搭載される高周波回路に最適な商品で、2012年8月より量産を開始するという。また大日本印刷 <7912> も、スマートフォンやタブレット向けとなる500ppi(pixels per inch)までの高精細な中・小型向けカラーフィルターを生産する技術および、第6世代および第8世代の既存設備を利用して効率的に生産する技術を開発したと発表するなど、一時期と比較するとその速度は緩やかであるが、各メーカーが確実に技術の進化を成し遂げている。稼働時間の伸長など、ユーザーからのニーズは依然として少なくない。これらがどこまで改善されるのか、期待の高まるところであろう。