債券から株式への流れ映した展開=犬丸正寛の相場展望

2012年8月17日 16:37

  来週(20~24日)は『日米で株選好の展開』となりそうだ。NYダウは史上最高値をうかがう動き、日経平均は上値のフシ9136円(今年7月4日)を抜いたことで9500円水準をそれぞれ目指す可能性がありそうだ。

  「世界のマネーは金融面を重視した動きから実体経済重視へ移っている。欧州信用不安で世界マネーはひとまず欧州からの逃避は一巡した。次は実体経済に目を移す順番となっている。欧州および欧州と関係の深い新興国の経済は当分、底ばいだろう。そうなると冷戦時代の西側(アメリカ、イギリス、オーストラリア、日本など)の強さがクローズアップしてくる。オリンピックでもこれらの国のメダル獲得数は圧倒的だった」(中堅証券)という。

  つまり、金融不安のときに注目された安全資産の「債券」から、今は経済実体を反映する「株」へ資金が移っているというわけだ。実際、アメリカと日本の国債金利は上昇(価格は下落)している。「国内の機関投資家は国債等の債券運用の難しさから株式へ注目している」(同)という。

  では、実体経済はどうか。アメリカは第3次金融緩和が不必要なほど堅調という。しかし、額面通りに受け取ることは危険だろう。秋の大統領選挙が近づいているため、今更、緩和をやっても間に合わないから、「足元の良いデータ」だけが強調されている可能性もあるのではないか。一応、最高値1万4198ドル(2007年10月)に挑戦の姿勢は予想されるものの楽観はできない。

■第2四半期までの「業績空白」狙い相場

 日本の実体経済では4~6月のGDPは年率1.4%と、1~3月の年率5.5%から大きくダウンした。失速に近い。このため、補正予算が言われるものの今の政局では簡単には実現は難しいだろう。

  とくに、政局面では中ロ韓の一斉圧力から領土をめぐる「外交面」が大きい問題としてクローズアップしている。2009年の民主党政権誕生以来、反自民党政治を鮮明として庶民寄りの政策に偏り過ぎた隙間をつかれた。

  国家が滅びる時は、勤勉性を失い財政が悪化するなどの「内なる劣化」と、内輪もめをつかれる「外からの武力」だろう。

  幸い、消費税上げで財政悪化による国家崩壊は食い止めることができるのだから、次は、「国土を守る」ことに全力を挙げるべきときである。「近いうち」の解散では間に合わない心配もある。一刻も早く、国土を守る挙国一致政権をつくるべきだろう。

  「経済など内に対する強化」と、「軍事・外交面の外への強化」が備わったときには、日経平均はNYダウと肩を並べ1万3000円台も期待されるだろう。

  ただ、足元は第2四半期(4~9月)決算までの「業績空白期」の相場と割り切っておくべきだろう。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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