「自己株式取得の切れ目が株高の切れ目」をハネ返してキヤノンは反発=浅妻昭治

2012年8月14日 10:18

【浅妻昭治のマーケット・トーク】

  キヤノン <7751> は14日、24円高の2682円と変わらずを挟み3営業日ぶりに反発している。前日13日大引け後に7月30日に取締役会決議し実施した自己株式取得の終了を発表、株価押し上げ材料が一巡したが、この自社株式取得でつけた2848円の戻り高値から予め200円幅の調整をしていただけに、織り込み済みとしてかえって下げ過ぎ訂正買いが再燃している。

  同社株は、昨年4月以来、業績の下方修正や株価急落場面では合計5回も自己株式取得を発表、株価は好感高したが、この取得終了とともに株価のほぼ往って来いの調整となり、まさに「金の切れ目が縁の切れ目」ではないが、「自己株式取得の切れ目が株高の切れ目」となってきた。今回は、寄り付き段階では、この需給悪化懸念を押し返している。

  7月に決議した自己株式取得は、資本効率の向上を図るとともに、将来の株式交換などの機動的な資本戦略に備えることを目的としており、取得株式数の上限を2100万株(発行済み株式総数の1.8%)、取得総額を500億円とした。

  この自己株式取得に先立ち、同社は、7月25日に今12月期通期業績を下方修正し、株価は、2308円まで急落、株価対策も意識したもので、株価は、自己株式取得とともに2848円まで300円幅の急騰を演じた。

  ソニー <6758> が、今年8月9日に子会社を株式公開買い付けして親子上場を解消することを発表、この思惑も同社に波及しており、保有する自己株式の処理方法や再度の自己株式取得など下値では思惑が交錯する展開が続きそうだ。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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