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「近いうち」の解散・総選挙で空中戦開始なら日航の再上場は最大相場イベントに=浅妻昭治

「近いうち」の解散・総選挙で空中戦開始なら日航の再上場は最大相場イベントに=浅妻昭治

2012年8月14日 06:25

【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】

  「姓はニコポン、名は近メシ」といえば、かつては兜町ではよく見聞きした外交辞令の所作である。証券マンの肩を「君はよくやってくれている。ありがとう」とニコニコ笑いながらポンと叩き、次いで「近いうちにメシでも食おう」と畳みかけるのである。証券マンの方も心得たもので、外交辞令以上の笑顔を返し、決して、手帳を取り出してメシを食うスケジュール調整をするなどという野暮なことはしない決まりとなっていた。これで双方が丸く収まり、兜町流のコミュニケーションがスムーズに運ぶことになる。

  一方、永田町では、別の流儀があるらしい。野田佳彦首相が、8月8日の谷垣禎一自民党総裁、山口那津男代表と会談した際に伝えた「近いうちに国民に信を問う」とした発言の「近いうち」が、政治問題化しているのである。解散・総選挙の意向を明らかにした発言だが、「近いうち」がどの時期になるのか議論を呼んでいる。

  これに関連してテレビでコメントを求められた自民党の元総裁で某元首相は、「近いうちにメシを食おうといえば、2週間以内に約束を実行するのは常識」として、9月8日に会期末が迫った今国会中の解散・総選挙を示唆した。このコメントを聞く限り、政治家の方が、証券マンより律儀に約束を実施するスタイルを貫くようである。

  それにしても、政局が混迷して総選挙風が吹くようになると、兜町ではかつて必ずそれらしい政治銘柄の一つや二つが、動意付いたものである。材料も前ぶれもなく、突然大商いになって急騰する銘柄が突出したものだ。今回は、消費税増税関連法案を巡って、与党・民主党が分裂し、与野党3党合意など政局が紛糾した割りには、そうした政治銘柄のウワサはまだ流れていない。それだけ株式市場が、まっとうになって透明性が増し、グローバル化したということだろうが、その根本はどうも別なところにありそうだ。政治無関心相場である。

  このところ「政治」が、株価材料、相場テーマとして取上げられたためしはほとんどない。首相が1年ごとに変わり、「何も決められない」政治から、野田首相が原発の再稼働と消費税増税関連法案の成立を決めたが、それでも関連して株価が動くことはなかった。市場の関心事は、もっぱら欧州債務危機や米国、中国の景気減速などに向いたままで、円高対応の政府への期待さえ皆無であった。

  解散・総選挙でこのムードが変わって、「政治の季節」がやってくるのか注目されることになる。そうなれば、テーマ株として野田内閣が、7月に閣議決定した日本再生戦略や、自民党がマニフェストとした国土強靭化基本法などの関連株に注目が集まることになるが、もうひとつの「政治銘柄」として注目度がアップしそうなのは、9月19日に東証に再上場される日本航空 <9201> (東・所属部未定)だろう。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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