【アナリストの眼】売り方の買戻し先行か、米国の雇用好調を評価

2012年8月5日 19:51

【来週の相場展望】

  来週(8月6日~10日)の日本株式市場は、週初6日は買い優勢でのスタートが想定され、その後は重要イベントとして8日~9日の日銀金融政策決定会合が焦点。波乱なく通過する可能性が高く、大勢として買い戻し優勢の1週間となりそうだ。ただし、世界経済への警戒感がくすぶる状況に大きな変化はないだけに、主要国・地域の政策対応への思惑が交錯する可能性もあるだろう。

  前週末3日の米7月雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比16.3万人増加となった。市場予想を大きく上回るポジティブサプライズで、景気に対する警戒感が和らぎ米国株式市場は大幅上昇した。欧州株式市場も大幅上昇し、前日2日のECB(欧州中央銀行)に対する失望感で大幅下落した分を取り戻した。外国為替市場では円安方向に傾いた。さらに、3日の取引終了後にトヨタ自動車 <7203> が発表した決算が、市場に安心感をもたらす可能性もあるだろう。

■各国とも金融緩和見送り、実体経済との綱引きも

  8日~9日の日銀金融政策決定会合が重要イベントとなるが、7月31日~8月1日の米FOMC(連邦公開市場委員会)、1日~2日の英中銀金融政策委員会、2日のECB理事会と続いた主要国・地域の金融政策会合では、いずれも追加緩和を見送った。このため今回の日銀金融政策決定会合も追加緩和見送りとの見方が優勢になっており、大きな波乱なく通過しそうだ。ただし、2人の新しい審議委員が参加する初の会合となるため、金融政策に対してどのような影響が出るのかが注目されそうだ。

  9日と10日には、中国の7月CPI(消費者物価指数)や7月貿易統計など主要経済指標の発表が相次ぐ。中国の景気減速に対する警戒感はかなり織り込まれた感もあるだけに、余程の弱い内容でない限り、反応は限定的になる可能性が高いだろう。

  全体として見れば買い戻し優勢の1週間となりそうだ。ただし、米7月雇用統計が市場予想を大幅に上回ったことで米国の量的緩和策第3弾(QE3)観測が後退するなど、主要国・地域の政策対応への思惑が交錯するだろう。さらにスペイン10年債利回りが上昇すれば地合いを一変させかねないだけに、ECBの政策対応も注目されるだろう。

  国内要因で見れば政局が緊迫の度を増し、一気に衆院解散・総選挙ムードが強まる可能性もあるだけに、外国人投資家がどのような反応を見せるかも注目されるだろう。さらに、主力銘柄の4~6月期決算発表がピークアウトして、決算内容を精査したアナリストレポートも出始めるだけに、好業績期待銘柄を個別に物色する動きも強まりそうだ。(本紙・シニアアナリスト水田雅)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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