日立、英で都市間高速鉄道の車両リース事業を展開 計596両の車両製造受注

2012年7月25日 17:24

 日立製作所は25日、英国運輸省の都市間高速鉄道計画について、日立が出資する特別目的会社「アジリティ・トレインズ社」を通じ、正式契約を締結したと発表した。

 同契約に基づき、アジリティ・トレインズ社は、約30年にわたり、英国主要幹線である「East Coast Main Line」及び「Great Western Main Line」を走行する車両のリース事業を展開する。また日立は、アジリティ・トレインズ社より同社のリース事業向けに、合計596両におよぶ車両の製造、並びに27年半にわたる保守事業につき一括受注することとなる。

 なお、同プロジェクトは英国運輸省が主導するPPP(Public Private Partnership)スキームで実施されており、国際協力銀行および日本貿易保険による金融支援を受けている。

 アジリティ・トレインズ社は、2009年2月12日、英国運輸省から今回の案件に関する優先交渉権を獲得し、正式契約に向けた交渉を実施してきた。2010年2月には、2010年5月に実施された英国総選挙への影響回避を理由として、契約交渉が凍結されたものの、2011年3月より契約交渉を再開し、今回最終契約締結の運びとなった。

 また、日立は、今回の都市間高速鉄道計画を含む今後の英国および欧州における鉄道システム事業強化に向け、欧州における鉄道車両の生産拠点として、英国・イングランド北東のダーラム州ニュートン・エイクリフを第一候補として、新たな拠点を設立する予定。現在、設立に向けた最終調整を進めており、2016年にはフル生産を開始する。また新拠点は、1カ月あたり35両の鉄道車両を生産できる能力を保有する予定。新拠点がフル生産を開始する時点では、研究開発スタッフも含めて約730人を新規に採用する見込み。

 日立の中西宏明社長は、「長い交渉期間を経て、本プロジェクトの正式契約の締結に至ったことを大変うれしく思っている。本件は、日立が社会イノベーション事業を通じてグローバルな成長をめざす上で、非常に大きな一歩である」とコメントしている。

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