住友電工、横浜製作所でメガワット級大規模蓄発電システムの実証運転を開始

2012年7月25日 11:25

 住友電気工業は24日、横浜製作所(横浜市栄区)において建設を進めてきた、世界最大規模のレドックスフロー電池と国内最大規模の集光型太陽光発電装置(CPV)等から構成される「メガワット級大規模蓄発電システム」が完成し、同日より実証運転を開始したと発表した。太陽光発電や風力発電に代表される不安定な再生可能エネルギーの導入に対し、レドックスフロー電池を駆使することで電力の安定化を実現すると共に、電力不足の問題の軽減に貢献することを目指す。なお、同システムの開発に当たっては、日新電機、住友電設および明電舎とそれぞれと連携してきた。

 同システムは、夜間電力や太陽光発電電力を貯蔵するレドックスフロー電池(容量1MW×5時間)と再生可能エネルギー源としてのCPV(28基、最大発電量200kW)から構成され、外部の商用電力系統とも連系する。また、同システムのCPV発電量、レドックスフロー電池の蓄電量および消費量は、エネルギーマネージメントシステム(EMS)によって監視され、計測データはEMSサーバで一括管理される。

 同システムにより、レドックスフロー電池とCPVに既設のガスエンジン発電機を組み合わせて、横浜製作所全体の電気エネルギーの最適運転を行うFEMS(ファクトリーエネルギーマネージメントシステム)の実証を開始する。今回の実証は、経済産業省「平成24年度次世代エネルギー・社会システム実証事業」として、「横浜スマートシティプロジェクト」の中で株式会社明電舎と共同で行うもの。FEMS実証は、同プロジェクトでは初めてとなる。

 具体的には、今回の実証運転では、横浜製作所におけるピークカット運用(最大1MWのデマンド抑制)を行う。これにより、国内で喫緊の課題である電力不足問題の軽減に貢献する。また、天候に左右される太陽光発電をレドックスフロー電池と組み合わせ、計画的な発電を行う。これにより、太陽光発電の価値を高め、導入を促進する。

 さらに、あらかじめ設定したデマンドスケジュールとなるよう電力負荷に応じた放電量を調整する。電力消費のレベルを安定化させることで、必要な発電所の規模を低減する。また、太陽光発電の激しい出力変動をレドックスフロー電池の充放電で補償することで、出力を平滑化する。これにより、火力発電所の調整負荷が軽減され、系統へ連系できる太陽光発電の規模が拡大する。

 今後、再生可能エネルギーの導入やエネルギーの効率的運用を一層促進すべく、特に工場や商業施設などの大規模需要家でのニーズに合わせて、同システムの実用化を進めていく。また、今回の実証運転と並行して、事業化に向けた更なる低コスト化等を推し進め、2013年度中には事業を開始する計画。

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