富士通、ICTで農業経営を効率化させる食・農クラウド「Akisai」を提供

2012年7月18日 17:00

 富士通は18日、過去3年間の農業現場でのICT利活用実証実験の成果を踏まえ、ICTで農業経営を飛躍的に効率化させる食・農クラウド「Akisai(アキサイ、日本語通称:秋彩)」を、今年10月より順次提供していくと発表した。

 食・農クラウド「Akisai」は、「豊かな食の未来へICTで貢献」をコンセプトに、米・野菜などの露地栽培、施設園芸、畜産において、経営・生産・販売といった農業経営全般を包括的に支援する業界初のクラウドサービス。生産現場でのICT活用を起点に、流通・地域・消費者をバリューチェーンで結ぶことを目指す。

 その第一弾として、農業現場と食関連企業のマネジメントを支援する「農業生産管理SaaS」と、農業現場でのICT活用の促進や組織的マネジメントをサポートする「イノベーション支援サービス」を10月より提供する。これらにより、農業生産者は生産プロセスの見える化や、各種データの利活用などによる収益拡大につながるマネジメントが可能となり、また食品加工・卸・小売・外食などの食関連企業は、契約生産者との需給調整や品質管理のプロセスを確立することができる。

 具体的には、「農業生産管理SaaS」では、農業生産者向け生産マネジメントとして、日々の生産現場の作業実績や生育情報といったデータを、モバイル端末やセンサーを使ってクラウド上に収集、蓄積・分析することにより、圃場(ほじょう)ごとの品質やコストの見える化を可能にする。これらのデータを活かし、計画に対する実績の振り返りや、次の営農計画への反映を行うことで、収益や効率性を高める企業的農業経営が可能となる。

 また、食関連企業向け集約マネジメントとして、全国数百から数千の仕入先契約生産者の生産計画・生産履歴・収穫量・生育情報などのデータを一元管理することができ、生産段階から状況を把握することが可能になる。これにより、契約生産者への生産マネジメントを行うことが可能となり、定時・定量・定品質・定価格での調達実現を支援することができる。

 さらに、データを活かした農業経営や現場でのICT利用推進を支援するイノベーション支援サービスでは、農業生産者の人々と一緒に目標を設定した上で、現場で抱えるさまざまな課題を直接ヒアリングし、ICTを利用したPDCサイクルの提案と実践を行いながら、現場で収集したデータを活かした農業経営マネジメントをサポートする。

 販売価格は、「農業生産管理SaaS」の生産マネジメントが月額4万円から、集約マネジメントが月額10万円から。別途、それぞれ初期費用がかかる。また、イノベーション支援サービスは個別見積となる。

 販売目標は2015年度までに売上累計150億円。生産者、食関連企業、自治体、団体を含む2万事業者での利用を目指す。

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