世界の主要経済指標(分析と市場の反応)7月12日分

2012年7月13日 10:23

【7月12日の主要経済指標と市場の反応】

■12日の世界の主要株式市場は概ね下落、外国為替市場ではユーロ売りの流れ継続

  12日の世界の主要株式市場は概ね下落した。日本は日銀の追加緩和見送りが失望感につながった。アジアは上海が上昇したが、景気減速懸念で概ね下落した。欧州と米国は景気減速や企業業績に対する警戒感で売りが優勢だった。外国為替市場ではユーロ売りが優勢だった。

≪12日 日本≫

  日銀金融政策決定会合では、現行の政策金利(無担保コール翌日物の誘導目標0~0.1%)据え置きを決定した。資産買入等基金の規模も現状の70兆円を維持することを決定し、追加緩和を見送った。ただし、短期国債買い入れ額を5兆円増額するとともに固定金利オペを5兆円減額した。札割れ回避への対応策として固定金利オペの運用方法を見直すとした。また原油価格下落などを受けて4月に公表した展望リポートを見直し、12年度の物価見通しを4月時点の0.3%上昇から0.2%上昇に下方修正した。

  この結果に関して「短期国債買入基金増額」との一部報道を受けて、外国為替市場では追加緩和と解釈されて瞬間的に円が急落した。このため株式市場は下落幅を急速に縮小した。その後「固定金利オペ減額」で実質的に現状維持、追加緩和見送りの内容が伝わったため、外国為替市場では円が買い戻された。為替がそれまでのモミ合いレンジに戻ったため、株式市場では株価指数先物取引が主導する形で急落し、追加緩和見送りに対する失望感で下落幅を広げる形となった。

≪12日 アジア・オセアニア≫

  豪6月雇用統計で失業率は5.2%となり、5月の5.1%に比べて0.1ポイント悪化したが市場予想と同水準だった。新規雇用者数は2.7万人減少となり、5月の3.89万人増加に比べて大幅に悪化し市場予想も下回った。これを受けて外国為替市場では豪ドル売りが優勢となった。

  韓国中銀は、現行の政策金利3.25%を3.00%に引き下げることを決定した。3年5カ月ぶりの利下げとなった。この結果を受けて韓国株式市場は大幅下落した。

  インドネシア中銀は、政策金利を現行の5.75%に据え置くことを決定した。据え置きは5カ月連続となった。

  アジアの主要株式市場は中国・上海が上昇したが、その他は概ね下落した。韓国は利下げを嫌気して続落し、約5週間ぶりの安値となった。

≪12日 ユーロ圏≫

  ユーロ圏5月鉱工業生産は前月比0.6%増加で、4月改定値の同1.1%減少(同0.8%減少から下方修正)に比べて市場予想以上に改善した。なお前年同月比では2.8%減少だった。市場の反応は限定的だった。

  欧州の主要株式市場は下落した。景気減速に対する警戒感を強めたうえに、スペインとイタリアの10年債利回り上昇も弱材料視された。外国為替市場ではユーロ売り優勢の流れとなった。

≪12日 米国≫

  米新規失業保険申請件数は35.0万件となり、前週改定値の37.6万件(37.4万件から上方修正)に比べて2.6万件減少し、市場予想以上に改善した。08年3月以来の低水準だったが、自動車メーカーの操業による一時的要因との見方が優勢で、市場の反応は限定的だった。なお、4週移動平均は37.65万件となり前週時点の改定値38.625万件に比べて0.975万件減少となった。

  米6月輸出入物価統計で、6月輸出物価指数は前月比1.7%下落となり、5月の同0.4%下落に比べて下落幅が拡大した。6月輸入物価指数は前月比2.7%下落となった。5月改定値の同1.2%下落(同1.0%下落から下方修正)に比べて市場予想以上に下落した。石油輸入コストの低下が主因で、08年12月以来の下落幅となった。インフレ圧力が一段と緩和され、FRB(連邦準備制度理事会)の追加緩和余地が広がったとの見方が優勢の模様である。

  米6月財収支は597億ドルの赤字となった。5月(431億ドルの赤字)に比べて赤字幅が拡大したが市場予想を下回った。

  米国株式市場は下落した。景気減速や企業業績に対する警戒感に加えて、早期の量的緩和策第3弾(QE3)に対する期待感が後退したこともあり、売りが優勢だった。米新規失業保険申請件数は減少したが反応薄だった。

  外国為替市場ではユーロ売り優勢の流れが続き、ユーロ・ドル相場は約2年ぶりに1ユーロ=1.216ドル台までユーロが下落した。

  なお、ブラジル中央銀行は11日(日本時間12日早朝)、政策金利を従来の8.50%から8.00%に0.50%引き下げると発表した。利下げは11年8月から8回連続となった。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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