電通、英広告代理店大手イージスを約3955億円で買収 完全子会社化
2012年7月12日 17:56
電通は12日、ロンドン証券取引所に上場している英大手広告代理店Aegis Group plc(イージス、本社:ロンドン)と、イージス社の発行済及び発行予定全普通株式を現金にて取得し、100%子会社化する手続きを開始することに合意したと発表した。なお、同買収は友好的なものであり、イージス社の取締役会は今回の買収につき、全会一致で賛同している。
買収価格は、イージス社の普通株式1株当たり240ペンス(約300円)を予定している。なお、買収総額は約31億6400万ポンド(約3,955億円)を予定している。買収のための買収資金は、電通が保有する手元資金および金融機関からの新規借入により充当する予定。
今回の買収は英国法に基づく、スキーム・オブ・アレンジメント(Scheme of Arrangement)により実施される予定。スキーム・オブ・アレンジメントとは、英国法上の買収手続きで、イージス社の取締役会の同意に基づき、同社の株主および裁判所の承認を取得することにより買収が成立する友好的な買収方法。なお、買収に係るスキーム・オブ・アレンジメントは、競争法当局の承認が取得されることなどを条件に、2012年10月~12月ごろに効力が発生することを予定しているという。
イージス社は、メディアエージェンシービジネスを中核としながら、デジタル領域においても高い競争力と実績を有する企業集団。加えて同社は、欧州に堅固な事業基盤を確立しているだけでなく、市場規模の拡大が著しいアジア・パシフィック地域や世界最大の広告市場である米国においても高い成長を実現している。
電通はイージス社の買収により、グローバルサービス提供体制の整備を目指す。両社の統合を通じて、日本、欧州、米国、アジアの各地域に強力なプレゼンスを持つ、強固なグローバルネットワークが確立されることになる。この結果、互いの顧客に対して、国と地域の壁を超えた統合的なサービスを一貫性と高い品質を伴って提供することが可能となる。
また、買収を通じ、両社が専門性を有する領域が大きく拡大する。専門性の拡充に加えて、双方がこれまで確立してきた統合ソリューション構築の知見を結合することにより、顧客の期待が大きい統合ソリューションの提供基盤を飛躍的に高めることが可能になる。
さらに、デジタル領域の強化を図る。今回、「Isobar」ならびに「iProspect」を中核として、デジタル・ソリューションに関する高い提供能力を有するイージス社を統合することにより、デジタル分野におけるグローバルな事業基盤を確立することができ、両社の顧客が展開するビジネスを支援する力を大きく高めることが可能となる。
電通は、「当社グループがイージス社を買収することによって、統合ソリューションの拡充に向けた理想的な補完関係の構築が実現でき、双方の顧客に対して提供するサービスの価値を、大きく高めることが可能となる」としている。なお、電通グループおよびイージス社は、共に豊富な顧客基盤を有しており、買収後には両社合わせて世界の広告主トップ100社のうち71社を超える顧客を有することとなる。
電通の石井直社長は、「電通とイージス社は統合後にアジア太平洋地域のマーケット・リーダーとなり、欧州における強固なプレゼンスを有し、また米国で最も高成長を誇る主要なエージェンシーとして、そのプレゼンスを拡大していくこととなる」とコメントしている。
また、イージス社のJerry Buhlmann CEOは、「二つの偉大な事業が統合し、世界で最もダイナミックなマーケティング・サービス・グループのひとつを創造する。これは、このデジタル時代における史上初の大変な快挙だ」とコメントしている。