三菱電機が家電・産機向けSiCパワー半導体モジュールサンプル提供開始

2012年7月10日 11:00

 三菱電機が、次世代パワー半導体材料のSiC(シリコンカーバイト:炭化ケイ素)を用いたショットキーバリアダイオード(SBD)やMOSFET搭載の家電製品・産業機器向けSiCパワー半導体モジュール5品種を開発したと発表。7月31日から順次サンプル提供を開始する。

 エネルギーを効率的に利用する観点から、エアコン・冷蔵庫などの家電製品から一般産業機器にまで幅広く用いられているインバーター。同社はインバーターに使用される低損失のパワー半導体モジュールを多数提供している。そうした中、より大幅な電力損失低減や高速スイッチングが可能なSiCを用いたパワー半導体へのニーズの高まりを受け、今回、SiCを用いたSBDやMOSFET搭載のパワー半導体モジュールを開発。7月31日から順次、サンプル提供を開始するという。

 家電製品向けには、ダイオード部にSiC-SBDを搭載し、Si素子を使用した場合と比較して電力損失を約12%低減した「ハイブリッドSiC DIPIPM」と、最大30kHzの高周波スイッチングを実現した「ハイブリッドSiC DIPPFC」及び、トランジスタ部にSiC-MOSFET、ダイオード部にSiC-SBD を搭載し、Si素子を使用した場合と比較して電力損失を約45%低減、最大50kHzの高周波スイッチングを実現した「フルSiC DIPPFC」の三品種で、いずれも従来製品の「超小型DIPIPM」と外形寸法等の互換性を確保している。また、産業機器向けには、ダイオード部にSiC-SBDを搭載し、従来製品と比べて電力損失を約25%低減している「ハイブリッドSiC-IPM」と、トランジスタ部にSiC-MOSFET、ダイオード部にSiC-SBD を搭載し、従来製品と比べて電力損失を約70%低減、設置面積を約60%削減と大幅にパッケージを小型化した「フルSiCモジュール」の2品種となっている。

 3月にはロームが世界初となる量産の開始を発表するなど、フルSiCパワーモジュール元年とでも呼ばれるべき2012年。今年から来年にかけて、これらの搭載された製品が続々と市場に登場するであろう。今現在省エネとして脚光を浴びている製品が、省エネ製品と呼べなくなる日は我々が想像する以上に早く訪れるのかもしれない。

関連記事

最新記事