三菱重工、トレーラーで運べるコンテナ型ガスエンジン発電設備を開発
2012年6月26日 13:32
三菱重工業は26日、コンテナ型のガスエンジン発電設備「MEGANINJA(メガニンジャ)」を開発し、販売を開始したと発表した。
メガニンジャは現地到着後24時間以内に発電を開始できるのが特長。“素早く移動・素早く設置・素早く発電”を製品コンセプトに、移動が容易なコンテナの採用に加え、配線や燃料配管の接続にコネクター方式を採用することで、現地作業の大幅な簡便化を実現した。電力不足地域を抱える新興国などの分散型電源向けをはじめとする常用発電需要を中心に、非常・緊急対応用電源向け需要なども含め、国内外で幅広い市場を開拓していく方針。
メガニンジャは、ISO規格の40フィートコンテナ(長さ約12m)内に、ガスエンジン、発電機、燃料ガスの圧縮機、制御盤などの発電に必要な装置を搭載。温水熱交換器や排ガス蒸気ボイラーなどを内蔵した20フィートの排熱回収コンテナを同時に使うことにより、コージェネレーション(熱電併給)にも対応できる。それぞれトレーラーで目的地まで運ぶことができる。発電出力は1,500kWで、複数台の連結運転により発電量の拡大も容易。
在来の据え置き型発電設備の場合、設置場所の基礎工事や設置後の配線・配管作業など時間がかかる現地作業が必要で、据え付け開始から稼働までに1ヵ月程度の準備期間を織り込むのが一般的だった。しかしメガニンジャでは、新たに「置くだけ工法」を採用することにより現地作業を大幅に削減し、24時間以内に稼働させられるようにした。
同工法では、設置に必要なスペースや配線および燃料配管の接続部となるコネクターの位置がわかる外観図や要望事項を、あらかじめ顧客側に提出。その際、電気や燃料を供給する側のコネクターを顧客に届けることにより、設備の到着までに設置スペースの確保や接続準備作業を完了させられるようになっている。
ガスエンジンにはミラーサイクルを採用することで、42.6%の高い発電効率を達成。電子制御により燃料と空気の混合を最適化し、NOx(窒素酸化物)濃度は後処理なしで200ppm以下に抑えている。また、エンジンの主要部品は、約9割を数多くの実績があるディーゼルエンジンと共通化し、高い信頼性と耐久性を確保した。
三菱重工は、メガニンジャを主に新興国で展開する方針。同社はすでに、中国企業からメガニンジャの初号機および2号機を受注。両機を相模原製作所(神奈川県相模原市)から出荷し、現地への納品を完了している。また、10月をめどに、三菱重工のエンジン事業の中国拠点である菱重発動機系統(深セン)有限公司の上海代表処内に「上海ガス分散型発電エンジニアリングセンター」を開設。分散型電源システムのエンジニアリング専任スタッフを新たに配置し、顧客の近くで設計からサービスまで一貫して対応できる体制を整えることにより、中国での需要増に応えていく。