引け味が違うニオイ?2ケタ低位値ごろの有配株に浮上余地=浅妻昭治

2012年6月25日 10:36

【浅妻昭治のマーケット・トーク】

  兜町で初めて教えてもらった相場用語は、「金曜日の引けピン」と「月曜ボケ」であった。投資家心理のヒダを言い当てていて妙だと納得したものである。なかでも「金曜日の引けピン」は、数々の行け行けドンドンの強気相場では、金曜日の後場高が、週休みを挟み売り・買いポジションを手仕舞しなければならないはずの投資セオリーまで無視して、翌週週明けの相場の夜放れ期待さえ高めるなど、悲喜交々の相場ドラマにつながったことは記憶に新しい。

  このところの東京市場は、この「金曜日の引けピン」ほどではないが、引け味が、これまでとはやや違うニオイがしてきたようである。相場イベントに対する週末、週明けの感応度が、海外市場と東京市場とで方向が異なってきた印象がするのだ。東京市場は、久しく独自の材料で動く相場シーンが少なく、海外市場のコピー相場として、「米国時間」、「中国時間」、「欧州時間」で動くとされてきたが、この2週間、よく言えば独自色を発揮し、悪く言えば海外市場の読み違いとも形容できるイレギュラーな反応を示したのである。

  6月17日のギリシャ議会の再選挙では、緊縮政策継続派政党の過半数獲得に素直に反応して株高で反応したら、海外株は、今度はスペインの金融機関の不良債権問題を厳しく問いただして株安となり、中国の景況感悪化についても、東京市場は、織り込み済みとして反応薄だったものが、米国NYダウは、世界経済の減速懸念を強めてネガティブに評価し、250ドル安と今年2番目の下げとなった。

  前週金曜日の東京市場は、このNYダウの急落にもかかわらず、日経平均株価は一時、3日続伸とプラスに転じた場面もあり、大引けは、小幅反落にとどまった。追い掛けるようにNYダウは、小幅反発して引けたが、週明けは、NYダウの急落が正しかったのか、日経平均株価の小反落が正解だったのか試す展開が続くことになる。為替相場の円安転換も含めて、市場では「リスク・オフ」から「リスク・オン」への相場の大勢反転を先打ちする強気のマーケット・コメントも出てきた。

  こうなると勢いを増すのが、外国為替証拠金取引(FX)でかつてグローバル・マーケットで勇名を「ミセス・ワタナベ」の向こうを張る個人投資家の「ミスター・ワタナベ」たちである。東京市場の主導権を握り続けている外国人投資家への逆張りで相場のフシフシでその存在感を主張するヘソ曲がり・一言居士投資家が、腕によりを掛ける頃合となる。来るべく7月相場が、波乱必至の「二日新甫」となれば、モチベーションは最大級となるはずだ。

  もちろん主導する主力株は、低位値ごろを最大の株価材料とする「ご意見無用」の極低位株である。これは前週末22日の値上がり率ランキングを一覧すれば一目瞭然となる。東証第1部での建設株を筆頭に、東証第2部、大証第2部では極低位値ごろ株が、大挙して値上がり率ランキングの上位にランクインした。なかには1円高しただけでトップ20位に滑り込んだ銘柄まで出た。

  これを「懲りない面々」の短期値幅取り、実態無視の無差別材料株物色とするのが、マーケットの大方の見方ではある。しかし、もしここに「東京時間」展開の萌芽があるとしたら、リスクを「極小化」し、リターンを「極大化」するテクニックを駆使しつつ、対応することには一考余地があるのではないだろうか。株価が、2ケタ以下の極低位株は、全市場でワースト100までセレクトしても、ワースト100位の株価が、なお64円とまさに無尽蔵である。そこから、何らかのフルイにかけてセレクトすれば、リスクの極小化しリターンを最大化する銘柄が、浮上しないとも限らない。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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