世界の主要経済指標(分析と市場の反応)6月20日分

2012年6月21日 12:39

【6月20日の主要経済指標と市場の反応】

■欧州株式市場はギリシャ連立政権樹立で安心感広がり概ね上昇

  19日に閉幕したG20首脳会議後の声明では「ユーロ圏のG20メンバーは市場の緊張再燃を踏まえ、ユーロ圏の統合性や安定、金融市場機能の改善、国家と銀行の悪循環を打破するために必要なあらゆる政策措置を講じていく」と表明した。さらに銀行の監督、破綻処理、資本強化、預金保険を含め、より統合された金融制度に向けた具体的措置を検討する計画を支持することも表明した

  市場の不安心理緩和につながるとの見方もあるが、ユーロ圏問題の対策に関しての具体性に欠けたため、市場の反応は限定的だった。

  20日の日本やアジアの主要株式市場は、中国・上海株式市場を除いて、概ね堅調な展開だった。前日18日の欧州および米国の株式市場が上昇した流れを引き継ぐ形となった。

  20日の欧州株式市場は概ね上昇した。ギリシャ連立政権樹立合意で安心感が広がった。外国為替市場ではユーロ買い戻しが優勢だった。

  米国株式市場は高安まちまちでほぼ横ばいだった。注目の米FOMC(連邦公開市場委員会)ではオペレーション・ツイストの半年間延長を決定したが、より積極的な追加緩和は見送られた。このため失望感がやや優勢になった。

■米国株式市場は追加緩和期待一巡で高安まちまち、為替は円が下落

≪20日 日本≫

  5月貿易統計(通関ベース)速報で、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は9072億円の赤字となった。3カ月連続の赤字で市場予想以上に赤字額が拡大した。また1979年以降では過去3番目の赤字額だった。輸出は前年同月比10.0%増加の5兆2346億円となり3カ月連続で増加した。東日本大震災の影響で落ち込んだ前年の反動で自動車が大幅に増加した。輸入は同9.3%増加の6兆1419億円となり29カ月連続で増加した。LNG(液化天然ガス)、原油、石油製品などが大幅に増加した。原油価格下落の影響はタイムラグのため5月の輸入金額に反映されなかった。

  日本の株式市場は前日19日の米株高を好感して買い優勢でスタートし、株価指数先物取引が主導する形で取引終了にかけて上昇幅を広げた。ただし様子見ムードも強い展開だった。5月貿易統計に対する反応は、株式市場、外国為替市場ともに限定的だった。

≪20日 アジア・オセアニア≫

  主要経済指標の発表はなく、前日19日の米国株式市場の流れを引き継ぎ、概ね堅調な展開となった。中国・上海総合株価指数は下落した。

≪20日 ユーロ圏≫

  独5月生産者物価指数は前月比0.3%低下した。4月の同0.2%上昇に比べてマイナスに転じ、市場予想も下回った。

  英5月失業率は4.9%となった。4月の4.9%と同水準で、市場予想とも同水準だった。

  ギリシャでは、第1党の新民主主義党(ND)主導で、第3党の全ギリシャ社会主義運動(PASOK)と民主左派党が新連立政権を樹立することに合意し、NDのサマラス党首が正式に新政権の首相に就任した。欧州株式市場では安心感につながり、外国為替市場ではユーロ買い戻しが優勢になった。経済指標への反応は限定的だった。

  なお、欧州最大の証券取引清算機関であるLCHクリアネットは19日、スペイン国債の取引に求める証拠金引き上げを発表したが、市場の反応は限定的だった。スペイン10年債利回りは低下した。

≪20日 米国≫

  米住宅ローン申請指数(新規購入、借り換え)は前週比0.8%低下した。前週の同18.0%上昇に比べて大幅に減少した。住宅ローン金利の低下で借り換えは増加したが、新規が減少した。

  米FOMC(連邦公開市場委員会)では、実質的なゼロ金利である現状の政策金利(FF金利)を少なくとも14年末まで正当化すると予想し、短期債を売却して長期債を購入するオペレーション・ツイストを12年末まで半年間延長することを決定した。また米実質GDP伸び率の見通しを下方修正した。バーナンキ米FRB議長は記者会見で「必要があれば追加緩和の準備がある」とした。

  市場が期待した積極的な追加緩和は見送られたため、株式市場では失望感がやや優勢になった。外国為替市場では序盤からドル買い・円売りが優勢だったが、FOMC声明発表後の反応は限定的だった。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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