日本初、積水ハウスが全戸「エネファーム」設置マンション着工

2012年6月18日 11:00

 積水ハウスは、福岡市中央区において家庭用燃料電池「エネファーム」と太陽光発電システムとによる「ダブル創エネ」仕様の分譲マンション「グランドメゾン大濠Park」の建設に5月から着手したと発表した。全9戸からなる6階建てで、全戸にエネファームを設置した日本初のマンションになるという。

 自家発電手段として太陽光発電システムと双璧をなすエネファーム。ガスを用いて発電した電気を各家庭で使用できるとともに、発電の際に排出される熱も給湯や暖房に利用できることから、その導入が広がっているものである。しかし、現行の機器は戸建て住宅向けのため集合住宅への設置には向いておらず、マンション等で利用するためには機器の耐震性能の向上と設置スペースの確保が課題となっていた。

 今回、積水ハウスが西部ガスに協力を要請し、戸建住宅向けの機器をマンションにも設置可能な特別仕様に改良することで、全戸への設置が実現した。加えて、各住戸内の照明にはLEDを、窓ガラスには冷暖房効率を高めるための遮熱断熱複層ガラスを採用。このことにより、戸建住宅負荷で試算した場合、1戸当たりの年間光熱費を約59000円節約できるという。さらに、建物屋上には5kWの太陽光発電パネルを搭載し、「ダブル創エネ」を実現。太陽光発電システムで発電した電力は、日中の共用部照明等で利用し、余剰分は電力会社に売電することができる。

 その他、居室の天井にはシックハウス症候群の原因物質の一つとされるホルムアルデヒドを吸着し、空気中の放散量を限りなくゼロに近づける内装仕上げ材を採用。隣接する日本有数の水景公園「大濠公園」への眺望を住空間に最大限取り込むため、住戸内に梁型の出ないフラットスラブの構造方式を採用するなど、快適性・経済性・環境配慮が追究された「グリーンファースト マンション」となっている。

 これまで戸建て住宅への設置が主流となっていた家庭用燃料電池だが、真に普及を進めるためには、マンションなどの集合住宅への導入が必須である。「グランドメゾン大濠Park」で設置される燃料電池は戸建住宅用の機器が改良されたもので、マンション専用の機器が発売されるまではまだ時間を要するだろうが、普及拡大へのさらなる一歩を積水ハウスが先陣を切って踏み出したと言えるのではないだろうか。

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