独自の「日本時間」関連でサマー・ラリー候補株にコンビニ株が消去法的に存在感=浅妻昭治

2012年6月4日 13:07

【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】

  5月相場は、米国の相場格言の「Sell in May and Go away(セル・イン・メイ・アンド・ゴーアウェー、5月に売ってどこかに行ってしまえ)」通りに、世界同時株安の結果となってしまった。日経平均株価は、月足で2カ月連続の陰線で月間下落率は10%を超え、東証株価指数は、連日の年初来安値更新となり、NYダウも、同じく月足で8カ月ぶりに陰線を引き、下落幅は820ドルに達した。

  東京市場は、前場は「米国時間」、後場は「中国時間」として米国市場や中国市場のコピー相場で下押し圧力を受け、その米国市場と中国市場も、ギリシャやスペインのソブリン・リスク不安で景気減速懸念を強めており、この3つの「時間」が絡み合って、あの5月6日に茨城県、栃木県を襲った風速100メールと推定された竜巻並みの逆風にダブル、トリプルに直撃されているようなものである。このため前週末1日も、日経平均株価は、終値として4カ月半ぶりに8500円を下回り、NYダウは、今年最大の下落率と急続落した。

  米国の相場格言は、5月に売り逃げろとは教えてくれたが、いつ株式市場にカムバックしたらいいのかについては、詳らかにはしてくれていない。6月も、1日の出足は最悪で、さらに前日3日には、野田佳彦首相が、小沢一郎元代表と2回目の会談をしたあとに、きょう4日の内閣改造を表明しており、政界再編の政治不安に見舞われ、観測されている為替市場での円売り介入も後手、後手に回る可能性も出てきて、恒例のサマー・ラリーの助走には厳しい環境になりそうだ。

  かつて兜町では、夏相場といえばサマー・ストックとして、季節商品関連のビール株、中元商戦の百貨店株、お盆・夏休み映画興行の映画株などを定番銘柄に取り上げて、サマー・ラリーを展開するのを恒例としていた。日本自体が、とっくに季節感を喪失しているだけに、定番のサマー・ストック株への期待感も後退している。

  そこで頼みは、6月1日から環境省でスタートした「スーパークールビズ」、7月から実施される「再生エネルギーの固定価格買取制度」で、これをテーマに取り上げ一点・二点集中を図ろうとする動きもあったが、これも今週にも、関西電力 <9503> の大飯第3・第4原子力発電所の再稼働が決定されるとなると、サマー・ラリー銘柄としてやや力不足感が懸念されるところとなる。原発再稼働で関西電力管内の企業が、通常通りに操業を続け、気温が上昇すればエアコンをガンガンとかけ、街に煌煌とネオンサインがきらめくようでは、買い上げるエネルギーは限定的にならざるを得ない。

  こうなると仮にサマー・ラリーを期待するとしても、この候補株のセレクトには、大きな制約が伴うことになる。ましてや「米国時間」や「中国時間」、「欧州時間」の3つのハードルが前に控えて揺さぶられるのだから、これに抵抗力を発揮できることが必須条件となるのである。消去法的に銘柄スクリーニングしていくと、残る有力な候補株の一つが、独自の「日本時間」で人気化しそうなコンビニエンスストア株ということになりそうである。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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