世界の主要経済指標(分析と市場の反応)5月31日分

2012年6月1日 10:09

【5月31日の主要経済指標と市場の反応】

■米主要経済指標が弱い内容、外国為替市場では円高加速

  31日の日本市場やアジア市場は概ね、前日の欧米株安やユーロ売りを受けて軟調だった。欧州市場ではギリシャ問題やスペイン問題がやや落ち着いた状況だった。ただし、米主要経済指標がいずれも市場予想よりも弱い内容だったため、外国為替市場では円高が加速した。1ドル=78円20銭台、1ユーロ=96円80銭台まで円が上昇した。米国株式市場も下落した。

≪31日 日本≫

  4月鉱工業生産指数の速報値(2005年=100、季節調整値)は前月比0.2%上昇の95.8となった。全16業種のうち輸送機械や化学など9業種が上昇した。2カ月連続の上昇だったが、3月の同1.3%上昇に比べて鈍化し市場予想も下回った。なお先行きの生産予測指数は5月が前月比3.2%低下、6月が同2.4%上昇だった。4月が鈍化したことに加えて、先行きに対して警戒する見方が優勢の模様だが、市場は反応薄だった。

  4月新設住宅着工戸数は前年同月比10.3%増加の7万3647戸となった。3カ月連続の増加で、季節調整済みの年率換算値は89万6000戸となった。4月大手建設工事受注額は前年同月比16.2%増加した。3カ月ぶりの増加だった。いずれも市場は反応薄だった。

≪31日 アジア≫

  インド1~3月期実質GDP成長率は前年同期比プラス5.3%成長で、9年ぶりの低水準となり、市場予想を下回った。設備投資の低迷が影響して4四半期連続の成長率鈍化となったため、4~6月期の成長圧迫も懸念されている。

≪31日 ユーロ圏≫

  独4月小売売上高速報値は実質ベースで前月比0.6%増加となった。3月改定値の同1.6%増加(同0.8%増加から上方修正)に比べて鈍化したが、市場予想を上回った。前年同月比では3.8%減少だった。

  ユーロ圏5月消費者物価指数速報値は前年同期比2.4%上昇となった。4月の同2.6%上昇に比べて鈍化し、市場予想を下回った。ECB(欧州中央銀行)の利下げ余地が広がったとの見方が優勢の模様である。

  なお欧州委員会は30日、スペインの財政赤字削減期限延長と、ユーロ圏救済基金から銀行への直接資本増強について提言した。さらにユーロ圏の経済統合深化の一環として、銀行連合、共通の金融監督制度および銀行預金保証制度の確立を実現すべきとして、6月のEU首脳会議で協議することを明らかにした。

  また31日に発表された最新のギリシャ世論調査は、データRCの調査では緊縮財政支持派の新民主主義党(ND)が28.4%、緊縮財政反対派の急進左派連合(SYRIZA)が25.6%となった。ALCOの調査では縮財政支持派の新民主主義党(ND)が25.0%、緊縮財政反対派の急進左派連合(SYRIZA)が22.7%となった。

≪31日 米国≫

  米5月ADP雇用報告で民間部門雇用者数は前月比13.3万人増加となった。4月改定値の同11.3万人増加(同11.9万人増加から下方修正)に比べて改善したが、市場予想を下回った。

  米新規失業保険申請件数は38.3万件となった。前週改定値の37.3万件(37.0万件から上方修正)に比べて1.0万件増加し、市場予想を上回った。4週移動平均は37.45万件となり、前週時点に比べて0.375万件増加した。

  米1~3月期実質GDP改定値(季節調整後、年率)は前期比プラス1.9%成長となった。速報値の同プラス2.2%成長に比べて下方修正となった。市場予想と同水準だった。

  米5月シカゴ購買部協会景気指数は52.7となった。4月の56.2に比べて大幅に低下し、市場予想も大幅に下回った。

  ギリシャ問題やスペイン問題はやや落ち着いた状況だったが、米主要経済指標がいずれも市場予想よりも弱い内容だったため、外国為替市場では円買いが加速した。米国株式市場は下落した。ニューヨーク原油先物市場では、原油在庫が予想以上に増加したことも弱材料視され、WTI7月限は1バレル=86ドル台に下落した。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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