【銘柄診断】東洋刃物は補助金交付で極低位震災関連株思惑が再燃し反発
2012年5月31日 11:31
東洋刃物 <5964> (東2)は31日、1円高の65円と反発している。前日30日大引け後に東日本大震災で被災して復旧工事を進めた同社工場に対して宮城県から中小グループ施設等復旧整備補助金3億6200万円が交付され、特別利益に計上すると発表、特別利益そのものは、今3月期予想業績に織り込み済みだが、独自の震災関連株として極低位値ごろも手掛かりに思惑買いが再燃している。
同社は、震災に際して大阪工場を売却し、この譲渡益10億4100万円を債務超過の解消、有利子負債の圧縮などの財務体質改善に活用する一方、生産拠点を集約化、業務の効率化を図るために復旧補助金の支援を受けられる宮城県の富谷工場、多賀城工場に生産拠点を移転、操業を開始した。
このため前期業績は、この特別利益で移転費用2億1500万円、震災損失や移転に伴い退職した従業員への退職加算金など1億1800万円などを吸収して、純利益が7億9000万円(前々期は13億8300万円の赤字)と急回復した。
今期は、移転に伴う補助金収入を計上するが、純利益そのものは、前期の特別利益一巡で4億5000万円(前期比43%減)と減益転換を予想している。ただ大震災被災のピンチをチャンスに変えた機敏な経営策は、震災からの被災地復興支援策として注目される。
株価は、今年2月に大阪工場譲渡、前期業績の上方修正と続いて年初来高値131円まで短期に2.2倍化し、今期純益の減益転換予想で往って来いの調整となった。減益転換予想でもPERはわずか1.4倍の超割り負け水準に放置されることになり、2月の急騰相場再現思惑も強まろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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