【不動産大手6社を徹底検証!(1)】当面の収益はマンション分譲が寄与

2012年5月26日 10:35

■不動産大手各社の当面の収益はマンション分譲が寄与

  不動産大手6社、野村不動産ホールディングス <3231> 、三井不動産 <8801> 、三菱地所 <8802> 、東京建物 <8804> 、東急不動産 <8815> 、住友不動産 <8830> の当面の収益は、マンション分譲戸数の増加と利益率改善が寄与する形になりそうだ。

  不動産経済研究所が5月17日に発表した首都圏マンション市場動向によると、12年4月の首都圏マンション発売戸数は4211戸となり、前年同月比81.7%増加した。前年同月(11年4月)が東日本大震災の影響で大幅に落ち込んだ反動増に加えて、総戸数1000戸超の大型物件も寄与したとしている。発売戸数が4000戸を超えるのは07年4月の4090戸以来で、高水準だった。また発売月に契約した割合を示す初月契約率も81.8%と高水準だった。好不調の分かれ目とされる70%を8カ月連続で上回るとともに、14か月ぶりに80%を上回った。

  こうした状況も背景として、不動産大手各社はマンション分譲戸数の増加と利益率改善を見込んでいる。分譲戸数の増加については、東日本大震災の影響一巡が期待される。さらに利益率についても、08年のリーマンショック後に取得した収益性の高い物件の売上計上が、12年3月期および13年3月期に本格化し、利益率改善につながっている。

  野村不動産ホールディングス <3231> は、12年3月期の分譲住宅の粗利益率が23.3%となり11年3月期比6.9ポイント改善した。13年3月期の分譲戸数については、前期比1772戸増加の5800戸(うちマンションは同1703戸増加の5100戸)の計画としている。

  三井不動産 <8801> は、12年3月期の個人向け住宅分譲の営業利益率が4.0%となり11年3月期比0.9ポイント改善した。13年3月期については5.0%とさらに改善する計画となっている。分譲戸数については、12年3月期比484戸増加の5800戸(うちマンションは同388戸増加の4900戸)の計画としている。

  三菱地所 <8802> は、12年3月期の分譲マンション粗利益率が17.3%となり11年3月期比1.3ポイント上昇した。13年3月期については、分譲マンション売上戸数が4600戸で12年3月期比882戸減少する計画だが、粗利益率については18.0%とさらに改善する計画となっている。

  東京建物 <8804> は、12年12月期の住宅事業の営業利益率が5.7%の計画である。棚卸資産評価損計上の減少なども寄与して、11年12月期比7.3ポイント改善する見込みとしている。

  東急不動産 <8815> は、12年3月期の分譲事業の営業利益率が5.8%となり11年3月期比6.9ポイント改善した。棚卸資産評価損計上の減少などで改善傾向を強めており、13年3月期は6.4%の計画としている。

  住友不動産 <8830> は、12年3月期の不動産販売事業の営業利益率(連結消去前)が19.1%となり、11年3月期比5.2ポイント上昇した。13年3月期については17.3%とやや低下する計画となっているが、マンション契約戸数については前期比466戸増加の4500戸の計画としている。

  当面はマンション分譲が各社の収益押し上げ要因となりそうだ。ただし、マンション分譲戸数については景気先行き不透明感などで楽観視できず、利益率の上昇も長期間にわたって基調として続くことは予想しづらい。市場が冷え込めば、販売価格下落や完成・仕掛在庫の増加などが、収益圧迫の懸念要因となることには注意が必要だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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