NEC、世界初の技術「ExpEther」を用いた製品を発売 大阪大学に導入
2012年5月25日 10:59
NECは24日、同社が世界で初めて開発したネットワーク(イーサネット)を利用してコンピュータの構成を拡張する技術「ExpEther」を用いた3製品を、同日から販売すると発表した。
「ExpEther」とは、システム拡張や性能向上の際に、サーバ・ワークステーションなどの本体を追加するのではなく、CPU・HDD・グラフィックボード(GPU)など必要なコンピュータ資源のみを追加することができる最新技術。また、イーサネットでの通信に比べて大量のデータを効率よく転送でき、高速処理が可能となる。
昨今のクラウドコンピューティングや大量データ(ビッグデータ)のリアルタイム処理・高速処理は、高性能CPUや大容量HDDを搭載するサーバ・ワークステーションで処理されている。この処理に「ExpEther」を利用することで、データ量の増加に応じて効率的なシステム拡張やデータ転送の高速化が図れるという。
具体的には、「ExpEther」を利用することにより、サーバ・ワークステーションとコンピュータ資源(CPU・HDD・GPUなど各種デバイス)やクライアントをイーサネット上で接続できる。そのため、従来はサーバの筐体サイズや電源容量の制限により拡張できなかった各種デバイスを、制限なしで接続して利用できる。各種デバイスをイーサネット上で共有できるため、物理的な配置の自由度が高まり、柔軟なシステム構成が可能となる。
また、サーバ・ワークステーションと各種デバイスとの接続にイーサネットを利用するが、データ転送は通信プロトコル(TCP/IP)を使用せず、サーバ・ワークステーション内に内蔵されたデバイスでの転送と同じ高速データ転送(DMA転送)が可能。「ExpEther」を利用してサーバ・ワークステーションと各種デバイスをイーサネットを介して接続する際も、各種デバイスを制御するソフトウェアやアプリケーションの変更は一切不要であり、従来のデバイスはそのまま利用できる。
NECは「ExpEther」を搭載する製品として、サーバ・ワークステーション側に搭載する「ExpEtherボード」、そのサーバにネットワーク経由でコンピュータ資源を接続するための「ExpEther I/O拡張ユニット」、サーバ・ワークステーションに接続する端末「ExpEtherクライアント」を今回世界で初めて販売する。NECは、同製品を中核とした「ExpEther」関連製品を今後3年間で150億円販売することを見込んでいるという。
なお、同製品は先行的に大阪大学の汎用コンピュータシステムに導入することが決定。大阪大学は、これまで教室で学生が使用していた高性能PC(約600台)それぞれに「ExpEtherボード」を搭載し、サーバ室に移設して集中管理することで教室内の消費電力低減を図る。学生は教室で「ExpEtherクライアント」(600台)を介して高性能PCをリモートで利用する一方、夜間など授業のない時間帯は、サーバ室のPCの資源(CPU)が「ExpEther」経由で他の用途(大容量計算処理など)にも有効利用される。