「政治生命」と「生活防衛意識」をテンビンにかけると・・・?=浅妻昭治

2012年5月21日 13:52

【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】

■100円ショップ株に再浮上の目

  やっぱり「1%」と「99%」の攻防のようである。リーマン・ショックまでは、1%の富裕層が主導権を握り99%の富を独占したが、サブプライムローン・バブルの破綻この方、「1%」の限界生活者の反乱が世界各地で起こった。中東では、「反独裁」で長期軍事政権がドミノ倒しとなる「アラブの春」が吹き募り、ギリシャでは、「反緊縮」、「反格差」で、連立協議が頓挫して再選挙が不可避となり、フランスでは、現職大統領が決戦投票で敗れ、ドイツでは、州議会選挙で連立与党が大敗した。

  この「1%」の反乱の行く着く先は不透明として、ギリシャのユーロ圏離脱も観測されて、ユーロ安、株安が世界中に伝播した。5月18日から始まった主要8カ国(G8)首脳会議では、財政の健全化と経済成長の両立を目指す方針で一致したと伝えられたが、そんな妙案があるものかどうか、またまた今週のマーケットで試されることになるはずで、「トンネルを抜けたらまたトンネル」となる懸念ばかりが強くなる。

  日本も、この政治状況では世界の趨勢と肩を並べているといえる。毎年、首相の顔が変わって、衆議院と参議院の多数派が異なる「ねじれ現象」が解消せず、何も決められない、誰も責任を取らない政治状況が常態化しているからである。野田佳彦首相は、消費税引き上げに「政治生命」をかけると不退転の決意を強調しているが、野党から「財務省のマインドコントロール」と攻撃されるのを目にし耳にすると、「一将功成りて万骨枯る」ならぬ「一省功成りて万骨枯る」ではないかという疑いに現実感が深まる。

  ということは、国会も会期末、野田首相が「政治生命」を強調すればするほど、「1%」の「反緊縮」意識とのギャップが広がることになる。いわば「政治生命」と「生活防衛意識」の攻防の激化である。野田首相が、仮に民主党内の反増税派や与党の自民党の取り込みに成功したりすれば、生活防衛意識は頂点に達することになる。この生活防衛意識の高まりは、株式相場的には関連株の出番につながることは間違いなく、この最右翼株として注目したいのが「100円ショップ」株である。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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