東武は安値から反発、「東京スカイツリー」開業目前でご祝儀相場?!=浅妻昭治
2012年5月21日 09:39
東武鉄道 <9001> は、5円高の385円と5営業日ぶりに反発して始まり、前週末18日ザラ場につけた年初来安値378円から底上げしている。明22日に「東京スカーツリー」が、開業するのを前にご祝儀相場的な買い物が再燃しており、同社業績への寄与度アップを期待する先取り思惑も交錯している。
同社は、今3月期業績について、スカイツリー開業でタワー業での入場券収入、スカイツリータウン業での商業施設「東京ソラマチ」の賃貸収入が寄与するとして、純利益を180億円(前期比12%増)と続伸を予想したが、市場コンセンサスを20億円強下回ることが響き、株価は年初来高値454円から年初来安値まで調整してしまった。
しかし、スカイツリーへの来場者は、商業施設を含めて年間3000万人と推測されているだけに、寄与はこれだけにとどまらない。例えば本業の鉄道業での乗降客への影響である。鉄道各社には、利用客が著しく減少する「死線」ともいうべき乗車区間がある。同業他社の京成電鉄 <9009> では、京成船橋駅で通勤客がJRに乗り換えて、京成船橋~京成上野駅間は、乗客がゴッソリと減って、電車は空気を運んでいるようだと形容されたこともある。
東武の場合も、ターミナル駅の北千住駅で乗客が、JRや地下鉄などへ乗り換え、東武伊勢崎線本線の北千住~東武浅草駅間は乗客が減少する傾向が強い。ところがこの区間にあった業平橋駅が、東京スカイツリー駅と改名されてリニューアル、最寄駅として機能するのである。
日光・会津を含めた観光再開発を含む利用客の増加につながり、しかも朝夕のラッシュ時の通勤・通学客でなく昼間の観光客の増加ということから、乗車効率は格段にアップすることになる。ご祝儀相場に乗って、株価面でも東京スカイツリー気分を味わってみるのも一興となりそうである。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)
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