川崎重工が舶用ディーゼル主機における排気再循環システムを開発
2012年5月18日 11:00
川崎重工が、舶用ディーゼル主機における排気再循環(EGR)システムを開発し、EGRシステム単独ならびにEGRシステムと水エマルジョン燃料との組合せの両方において、舶用ディーゼル主機の窒素酸化物(NOx)排出量を国際海事機関(IMO)の3次規制値以下に低減させることに成功したと発表。EGRシステムと水エマルジョン燃料との組合せによって舶用ディーゼル主機のNOx排出量を3次規制値以下に低減可能であることを確認したのは、国内では初めてだという。
国際航海に従事する船舶は2016年1月から実施される3次規制により、特定規制海域では舶用ディーゼル機関からのNOx排出量を1次規制比で80%削減することが義務づけられる。この規制に対応するため、NOx低減技術の開発に積極的に取り組んでいた川崎重工は、実機サイズの試験機関を用いた試験においてEGRシステム単独によるNOx低減、EGRシステムと水エマルジョン燃料との組合せによるNOx低減がいずれも3次規制を満足することを確認した。
今回のEGRシステム単独ならびにEGRシステムと水エマルジョン燃料との組合せによるNOx低減の成功を受けて、現在、システム最適化のための開発を継続するとともに、実船搭載に向けてEGRシステムの主要機器をディーゼル主機に装備したパッケージ型EGRシステムの設計を進めており、2015年を目処に市場投入する予定だ。
2011年度の決算で、受注高・売上高ともに前年比マイナスとなっていた川崎重工の船舶事業。そうした中、事業規模の拡大と収益性の向上を目指して、中国での出資拡大を積極的に行っている。技術移転を含むという中国との合弁事業では、今回開発されたシステムも含まれるのであろう。国内初の技術と中国の生産能力との組み合わせは、相乗効果となって、売上高向上へと繋がるのであろうか。今後の動向に注目したい。