王子製紙、放射性セシウムを吸着するゼオライト不織布を開発
2012年5月7日 18:12
王子製紙は7日、同社グループの王子キノクロス(本社:静岡県富士市)が、東日本大震災に伴う原子力発電所の事故によって飛散した放射性セシウムの吸着材料として使用できる可能性がある、セシウム除染用ゼオライト不織布の開発・商品化に成功したと発表した。
ゼオライト(沸石)は、高いイオン交換能を持つ鉱物であり、以前から水質改良材として用いられてきた。様々なイオンを交換・吸着するが、特に放射性同位元素を含む汚染水の処理において放射性セシウムを吸着する研究報告例があり、原子力発電所の事故によって発生した汚染水の除染に利用できるとの期待が大きい鉱物。
王子キノクロスでは、独自技術であるTDSプロセス(Totally Dry System)によって製造したゼオライト不織布が、放射性セシウムの吸着性に優れ、除染に効果があると考え、開発を進めてきた。TDSプロセスは、水系の接着剤を使用せずに不織布内部に多量のゼオライトを保持させることができるため、ゼオライトの機能を最大限に発揮できる不織布の製法であり、長年様々な用途に対応した多様な製品を世の中に生み出してきた。
TDSプロセスによって製造するゼオライト不織布は、ゼオライトの含有量をコントロールすることができることに加え、用途に応じて、表裏の不織布素材や処方の選択により柔軟性、強度、耐水性をコントロールすることができ、使用の簡便性、コンパクト化の観点で優れることから、セシウム汚染水の除染を必要とする様々な場面での活用が期待されている。