NYダウ大幅続伸、決算発表本格化を前に新安値銘柄がジワリ増加の不気味=浅妻昭治

2012年4月18日 10:08

【浅妻昭治のマーケット・トーク】

  東京市場は、前日の米国市場でNYダウが、194ドル高と大幅続伸して引けた余勢をかって日経平均株価が、160円高と大幅反発して始まっている。NYダウ大幅続伸は、スペインのソブリンリスク懸念の後退、米企業の好決算発表が要因で、このまま日銀の金融政策決定会合での追加緩和策発動、3月期決算会社の好業績発表と続けば、相場の大きな立ち直りにつながると期待させる。

  しかし、その強調スタートに水を差すようで恐縮だが、5月の大型連休を前に本格化してくる決算発表を前にやや気掛かりなテクニカル現象が起こっていることも指摘したい。

  新安値銘柄が、ジワリと増加しているのである。もともと新年度入りした4月相場は、年間でもテクニカル的に特異現象が起こる恒例月でもある。例えば突然、新高値更新銘柄が急増することなどがその代表である。

  高値更新銘柄は、3月末までは前年1月からその3月末までの1年3カ月分の高値・安値を基準に判定されるが、新年度入りの4月を境に、この年の1月から3カ月間余の高安を基準に判定されるように切り替えられるからである。それだけ判定のハードルが低くなる。

  実際に今年4月も、新年度初日の2日に東証第1部の高値更新銘柄は、209銘柄と3月30日の103銘柄から顕著に急増した。これは安値更新銘柄にも当てはまり、同様に1銘柄から21銘柄に急増した。ところがその後半月、安値更新銘柄数が高値更新銘柄数を上回り、倍以上となる日も珍しくなくなっている。もちろん安値更新銘柄の今年の安値は、昨年3月の東日本大震災発生直後の安値に比べればまだ上位にあり、実質的な安値更新かといえば疑問符がつく。

  問題は、このケースに該当しない銘柄があることだ。例えば富士フイルムホールディングス <4901> の昨年来安値は、昨年10月の1659円だが、今年は、連日の年初来安値更新で、前日17日は大引けでは3営業日ぶりに小反発したものの、ザラ場には1719円まで売られた。きょうは18日も、27円高で寄り付いたあとは、やや上値が重くなっている。同社株は、主力株の一角に位置しており、この安値更新が何を先取りしているのか不気味である。

  業績相場転換への引き金材料期待を高めている決算発表は、予断を許さないということなのかもしれず、新高値・安値更新銘柄の動向からは目を離せない。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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