昭和電工が中国の四川炭素の持分を取得することで合意
2012年4月17日 11:00
昭和電工が、中国の黒鉛電極の一貫製造会社である中鋼集団四川炭素有限公司(四川炭素)の持分67%を、四川炭素の親会社である中国中鋼集団公司より取得することで合意したと発表。今後、関係政府機関の批准を経て子会社化後、同社の技術を導入して四川炭素の黒鉛電極の品質を高め、黒鉛電極事業のさらなる拡大を図るとのこと。
黒鉛電極は、鉄スクラップのリサイクルにより生産される電炉鋼の製造工程において不可欠な消耗材料。新興地域における自動車の普及や都市化に伴い、鉄スクラップの発生が拡大することが確実視されている。その為、電炉鋼の生産拡大は今後も続くと予想されており、電炉鋼生産の増加に伴い、黒鉛電極の需要拡大も見込まれているという。
四川炭素の黒鉛電極生産能力は2万2000トン/年。昭和電工の生産能力が、長野県の大町事業所および米国の昭和電工カーボンの2拠点で10万5000トン/年であるため、子会社化後のグローバルでの生産能力は12万7000トン/年となる。また同社は、昭和電工カーボンの設備増強を進めており、工事完了後の2014年には日米中3拠点で15万7000トン/年に拡大、日・米・EUといった先端市場からアジアを中心とする成長市場までをカバーする世界有数の黒鉛電極サプライヤーとしての地位の確立を図る。
中期経営計画において、黒鉛電極を主力事業と位置付けて強化している昭和電工 <4004> 。事業拡大のため、伸長する市場への投資は必須と言えるが、今回の子会社化は技術移転を伴うものである。将来、その技術移転が中国企業の伸長を促し、自らの首を絞めることにならないか。その為の施策はいかなるものなのか。万全の策が取られていることを期待したい。