東芝、放射線を可視化するポータブルガンマカメラ装置を販売
2012年4月16日 18:49
東芝は16日、見えない放射線を可視化できるポータブルガンマカメラ装置の販売および撮影サービスの提供を今月から開始したと発表した。同装置は重量9.8kg、外形寸法は380(L)×110(W)×241(H)mmと小型軽量で持ち運びが可能なため、屋内外を問わずさまざまな場所で利用できるのが特長。バッテリー駆動時間は3時間。
ポータブルガンマカメラ装置は、放射線センサで測定したガンマ線とビデオカメラで撮影した映像を信号処理装置で重ね合わせることにより、放射線量が高い場所を赤く、低くなるにつれ黄色、緑、青と色を変えて表示し、色で識別することができる。また、短時間で広範囲を計測することができるため「ホットスポット」の特定が容易になり、除染作業の効率化を図ることができる。
ポータブルガンマカメラ装置は、昨年12月に発表して以来、福島市実施の実証実験に参加するとともに、地方自治体などに提案活動を行ってきた。また、多くの問い合わせを受け、試験撮影要請などにも対応してきた。その結果、ポータブルガンマカメラ装置の実用化に向けた性能及び効果を確認するとともに、改めて自治体などからのニーズが高いことを認識。そこで東芝は、今後本格化する被災地の除染活動に貢献できるよう生産体制を構築し、販売及びサービスの提供を開始することを決定した。
また、これまで提案してきた三脚による固定方式の撮影に加え、道路などを効率よく撮影するため、車両に装置を搭載した撮影方式も提案していくという。
新装置は、福島第一原子力発電所の建屋内の調査のために使用した東芝製のガンマカメラの性能を向上させ小型化。東芝独自の半導体検出素子の実装技術や信号処理・データ処理技術により感度・測定性能を約30倍以上高めた。これにより、0.1μSv/h(1mSv/年)という、低い線量率における「ホットスポット」を特定する事が出来、発電所のみならず、発電所の外でも測定が可能となる。さらに新装置は、周囲からの放射線を遮蔽しながら放射線映像を取得するための遮蔽体設計の最適化や電子回路のコンパクト化により、約50%の軽量化を実現している。